ノクターン第13番 ll

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ファイナル






1.古典ソナタ 全楽章(ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト)



ピアノソナタ 第23番 ヘ短調 「熱情」
Sonate für Klavier Nr.23 "Appassionata" Op.57
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
(Ludwig van Beethoven / 1770-1827)






第8番 悲愴、第14番 月光と並び、ベートーヴェンの三大ピアノソナタの一つ。






第1楽章

主題は特徴的なリズムによる分散和音と、トリル音型という2つの動機からなる。第5交響曲で中心的に用いられる「運命の動機」も低音域に姿を見せる。






ファイナルのソナタは熱情、
課題が渡された瞬間にそう決めていた。

緊張で堅くなってしまっても感情を入れやすいこの曲にしようと。勢いで押し切れるこの曲にしようと。

そうして、私は無意識に"無難"な方を選択していたのかもしれない。



でも、

今私が奏でているこの音は、この曲によってもたらされる感情なんかじゃない。

嵐のように吹き荒れるその旋律は、
私が経験してきた挫折、苦悩、屈辱。






第2楽章

穏やかな主題と三つの変奏の後、主題が回想され、唐突に強い減七和音の後切れ目なく次の楽章に進む。主題の変奏は巧妙で流麗に演じられる。






穏やかで流麗なその旋律は、
私が知った大きな愛、夢、強さ。






第3楽章

熱情の奔流と呼ぶにふさわしい旋律が吹き荒れる。後半は新しいリズムを持つ旋律が現れ、プレストに加速して激情の中で全曲を終える。






自分でも少し驚いている。
心の奥底に、こんなにも熱い何かが隠れていたなんて。

きっと伝えられているだろう。

私が持っている熱情を、この舞台に懸ける熱情を、






これは決して無難な音楽などではない。

私にしか奏せない、私だけの「熱情」だ。






2.今大会のために作曲されたコンチェルト



In the Wake of Ea
ミシェル・ペトロシアン
(Michel Petrossian / 1973-)






自分を表現する。

それがこんなに気持ちが良い事だなんて、きっとこの舞台に立たなければ知らないままだった。



上手く弾くことなんてもうどうでも良くて、
指先を器用に動かすことなんてどうでも良くて、ただこの刻が愛しくて仕方ない。

それはまるで、夢を叶えたあの日のよう。






そしてこの瞬間、
私はまた新たな夢に向かって歩き始めたんだ。






この景色をずっと見ていたい。
この刻をずっと感じていたい。

これからもずっと、
私の音を世界中に響かせていたい、この手でー

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