手前が可愛いという証明方法 【文豪ストレイドッグス】 【中原中也】

No.3 あの日はいつもと変わらず ページ5

──Aside──

あの日はいつもと同じ何事もつまらぬものでした…………と云いたいですが

あの日はいつもより刺激的な日でした



「お母さん！ 何で起こして呉れなかったの！」

「あたしは何回も起こしたわよ。てか、もう高校生なんだから自分で起きなさい！！」


実はちょっとだけ寝坊してしまった

電車に間に合うか間に合わないかの瀬戸際

「いってきまーす！」

「気をつけてねー」


駅までは徒歩約5分

走れば間に合うかとダッシュで向かった


えっ？食パン咥えたか？ 咥える訳無いですか

そんな漫画みたいな事起こるわけ無いですよ




そう思ってたけど本当に起きて仕舞いました


「ハァ……ハァ……もうすぐ駅ｯ……！」

この角を曲がったら駅って所で出会い頭にぶつかった

その瞬間に電車は行って仕舞った


「ッ……手前ェ！何処に目つけて歩いてんだよ！！」

「ヒッ！ す、すみませんでした！」

「あ、あの……お怪我とかありませんでしたか？」

モジモジと下を向いて、小さな声で云った

「あぁ？ 何云ってるか判んねぇだろうが
はっきりでけぇ声で云えよ」


「ぇ、えーと……お怪我とか……ありませんか？」

先刻より大きな声で下を向いて云った


「人の顔見て話せよ」

と、顎をクイッと持ち上げられた

ガラの悪そうな声の主は吸い込まれそう青色の目で私の顔を覗き込んだ


「へぇ〜 結構可愛いじゃねぇか」


顔を真っ赤にし乍ら彼の手を振り払った

「すみません……急いでいるので」

「電車行っちまったぞ」

あ、そうだった

「乗せてくぞ」

「お言葉に甘えて……」

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