手前が可愛いという証明方法 【文豪ストレイドッグス】 【中原中也】

No.12 喫茶店『円舞曲』 ページ14

『矢張(やっぱ)り……こここ怖いです………』

中也さんの腕をギュギュギュｯと握り締める


「痛てぇよ！ 如何したんだよ？」

『無理です……！ 帰りましょう！？』


「此処曲がったら直ぐだから」と裏路地に入った

一気に人気が無くなる

異常に静かだ

水溜りに雫が落ちる音は寂しく反響する

塀の上の猫が黄金(きん)色の目で睨む

どれも不気味だ



看板が見えた

店名は『円舞曲(ワルツ)』？



──カラン カラン──



遠くの方から『いらっしゃいませ』と複数人の声が聞こえる


「階段気ぃ付けろよ」と手を差し出した

『はい』と手を置く


長い長い階段を下りたら扉がある

「此処だ」と扉を指さす

またドアベルが鳴り響く


「いらっしゃい」

マスターらしい人が云う

その人は私より少し年上位だ

その他には、マスターと同じ位の女の人と好青年1人


店の照明は間接照明が所々にある位で全体的に暗い

窓は地下の為か窓が無い

座席数もカウンター3席とテーブル3席で少ない

とても質素な印象(イメージ)を与える風景だ

お客さんは私たちと白いワンピースの人だけ



「此処が俺行きつけの『円舞曲』だ！」

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