229.どうせ死ぬなら君の元で ページ38
起き抜けの頭で髪を整える以外の事を済ませて、ヨタヨタとキッチンに向かうと見慣れてきた光景が迎えてくれる。
「サンジ君髪の毛ぇ…」
「俺は髪の毛じゃねぇよ」
口調も思考もぽやぽやとしてる私とは違い、テキパキと朝食の準備を済ませるサンジ君を待ってる背後から、ナミがキッチンに入ってきた。
「おはよう、サンジ君」
「おはようございます♡ナミさん♡」
「A、アンタ今日も？」
「うぇ…？」
髪は適当に邪魔にならないところで縛るんだけど、それを見たサンジ君が簡単にヘアアレンジをしてくれた。
「サンジ君は忙しいでしょ、私がやるわ」
「大丈夫、ありがとナミさん。愛を込めた朝食を冷める前にどうぞ♡…行くぞA」
「あーい」
「全く…Aに甘いんだから」
キッチンの扉の近くに座る私の髪を梳かしながら、サンジ君が皆んなに朝食の準備が出来たと大きな声で言えば一斉にキッチンに消えていく。
「速いなぁ…」
口にゴムを咥えたサンジ君が器用に髪を編んでいくのが、なんだか気持ちよくてウトウトと眠くなってくる。
「寝たら食いっぱぐれるぞ」
「また作ってくれるくせに」
まだコントロールしきれなくて、サンジ君の手元に炎がチラチラと見える。後ろから小さくため息が聞こえて、後ろを横目で見ると神妙な顔をしていた。
「これ、何とかしないとな」
「楽しんでたのに？」
「…浮かれ過ぎた、反省してる。この世界にも人身売買がある。万が一にも天竜人に目を付けられたら厄介だ。翼に炎じゃ目立ち過ぎる。……出来たぞ」
「ありがとう」
鏡が無いからどうなってるかわからないけど、きっと可愛くしてくれたと思う。
差し出されたサンジ君の手を掴んで立ち上がると、その手を包むようにどうしても炎が出てしまう。
「練習する。時間があるとき付き合ってよ」
「あァ、デートの時は手を繋ぎたいしな」
残念そうにクソ可愛いんだけどなーと頭をかく姿を見ると、なんだか照れくさい。
「サンジ君への気持ちが変わるわけじゃないよ」
「お前な…」
片手で顔を隠すサンジ君の耳が赤い。
「サンジー！！！」
キッチンの扉が凄い音で開いて、後ろを振り返ると空の皿を持ったルフィが不機嫌そうに立っている。
「サンジ！おかわり！！」
「良いとこだってのに…」
舌打ちをするサンジ君に手を引かれてキッチンに入ると、席についてフォークを握った。
「いただきます！」
「おう、沢山食えよ」
どうせ生きるなら君の元で
END.
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銀之助(プロフ) - 未だにお気に入り登録、お気に入り作者登録、ハートの通知などをたくさんいただき、ありがとうございます。この場を借りてお礼申し上げます。これからも長く楽しんで頂けたら、幸いです。 (2022年9月16日 22時) (
レス) id: 9c08df65af (このIDを非表示/違反報告)
銀之助(プロフ) - 香さん» コメントありがとうございます。かなりの長編だったのに全部読んでいただき、面白いと思っていただけて嬉しいです。キュンキュンをお届けできて一安心いたしました。 (2022年5月12日 21時) (レス) id: 9c08df65af (このIDを非表示/違反報告)
香 - 本当に好きすぎです…面白かったしキュンキュンしました！ (2022年5月9日 11時) (レス) @page48 id: 64178017ff (このIDを非表示/違反報告)
銀之助(プロフ) - たろ。さん» コメントありがとうございますー。一気読み嬉しいです！ありがとうございます。サンジくんの魅力を損なわず書けていたなら、本当に良かったです。 (2022年4月9日 22時) (レス) id: 9c08df65af (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - やばいめっちゃ泣いたし一気読みした…サンジくんたまんねぇなおい。 (2022年4月5日 3時) (レス) @page48 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：銀之助
| 作成日時：2018年7月11日 21時
