225.美味しいご飯 ページ34
翌朝、私は甲板の芝生の上にサンジ君と向かい合って座り、その手を握っていた。
「こっちは真剣なんだから、締りのある顔してよ」
「俺だけってのがクソ可愛くてなー♡」
怒りや憎悪みたいな危険な感情に対しては訓練をしてきた。
今までこんな感情を持ってなかったんだから知りもしないし、訓練も出来ない。
きっと、クロ様が補佐してくれてたんだ。
なのに、正式に恋人になったからかサンジ君の押しが強くて困る。
「良い調子…」
「好きだよ」
緩んだ笑顔で言われ、握っていた手から勢いよく炎が出る。
「あら、やっとくっついたの」
「ぎゃっ！？」
「…新手のオモチャみたいね」
「ナミさんは今日も素敵だなー♡」
なんて愉快な体質だ。プリンといい勝負だ。
せめてサンジ君に触ったり触られたりしても炎が出ないようにしていかないと目立ち過ぎる。
ぐきゅるるるるる…
私が恥ずか死にそうになっている最中に大きなお腹の虫が鳴り響いた。
その音にメロリンモードが止まり、神妙な顔をしたサンジ君は
少しだけためらいながら口を開いた。
「なァ、おい…メシ…作っていいか？」
「メシ…」
しばしの間があった後、ぐるりとこちらへ向きを変えたルフィ、チョッパー、ブルックさんにキャロットが一斉にサンジ君に飛び付いてきた。
「メシャーーー！！！」
「サンジのメシャーーー！！！」
「実はハラヘリましたーーーっ！！！」
全身から喜びを迸らせて皆んながサンジ君に抱き着いてきた。
それを倒れずになんとか受けるサンジ君の体幹はどうなっているんだろうか。
「安全！！ただ！！おいしい！！」
「サンジのごはんだうぇーん」
「なんかあったのか…？俺がいねぇ間に…」
あまりの喜びように困惑しているサンジ君だったけど、その顔は本当に嬉しそうだった。
私も皆んなに混ざってサンジ君の背後に抱きついた。炎が出るけど今は気にしない！
「サンジ君！私ね私ね！！オムライスがいい！！ふわっふわのやつ！！」
「好きだなお前も」
サンジ君はキッチンに入ると早速調理を開始した。食べる専門勢はテーブルについて「メーシ♪メーシ♬」とコールしている。婆ちゃんがいたら怒られそうだなと思ったけど、私もそれに加わった。
「わかったわかった。どんな時でも腹はへる」
手元を覗き込むと、どうやら作ってるのは炒飯みたいだ。
香ばしい匂いが漂って、私のお腹もぐぅと鳴った。
「さァ食え！！食いてェ奴にゃ食わせてやる！！話はそれからだ！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1052人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
銀之助(プロフ) - 未だにお気に入り登録、お気に入り作者登録、ハートの通知などをたくさんいただき、ありがとうございます。この場を借りてお礼申し上げます。これからも長く楽しんで頂けたら、幸いです。 (2022年9月16日 22時) (
レス) id: 9c08df65af (このIDを非表示/違反報告)
銀之助(プロフ) - 香さん» コメントありがとうございます。かなりの長編だったのに全部読んでいただき、面白いと思っていただけて嬉しいです。キュンキュンをお届けできて一安心いたしました。 (2022年5月12日 21時) (レス) id: 9c08df65af (このIDを非表示/違反報告)
香 - 本当に好きすぎです…面白かったしキュンキュンしました！ (2022年5月9日 11時) (レス) @page48 id: 64178017ff (このIDを非表示/違反報告)
銀之助(プロフ) - たろ。さん» コメントありがとうございますー。一気読み嬉しいです！ありがとうございます。サンジくんの魅力を損なわず書けていたなら、本当に良かったです。 (2022年4月9日 22時) (レス) id: 9c08df65af (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - やばいめっちゃ泣いたし一気読みした…サンジくんたまんねぇなおい。 (2022年4月5日 3時) (レス) @page48 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：銀之助
| 作成日時：2018年7月11日 21時
