211.悔恨 ページ20
サンジside
Aの瞳の色が滲むように金色に変わっていく。
「愛の力ってヤツは恐ろしいな」
「その声…！」
Aの姿が煙のように崩れていき、その煙はやがて白く大きな狐の形へと姿を変える。
今度は深くため息を吐いたアヤメが肩を落とした。
「こんな事でバレるとはなぁ。頭首様と違って攻撃と守りで炎の色が違うからさ、そっちは気をつけてたのに。あ……泣いたのは、サンジへの侮辱は命を懸けた頭首様への侮辱だ。そりゃ泣くよ」
イタズラがバレたような軽い口調に俺の焦りと苛立ちは限界を超えた。アヤメの毛を掴んで睨みつけた金色の瞳は、俺の苛立ちに拍車をかける程静かだった。
「Aはどこだ！！」
「本当に知りたい？」
軽い口調はなりを潜め、静かな瞳と同じくらい冷たく俺に問う。
「当たり前だろ！！Aはどこなんだよ！！」
痺れを切らしたルフィもアヤメに詰め寄る。
その剣幕を見て、またため息をつくと空を見上げた。
「磯撫、悪い。バレたわ」
「やれやれ…煙草の持ち方とは恐れ入りやしたねぇ」
いつからいたのか、ぷかりぷかりと浮かぶ水の上に座る磯撫の腕には横抱きにされたAがいた。
その腕は、ダラりと力なく落ちている。船の上に降り立つと、Aの状態がよくわかった。
「A…」
喉が引きつってうまく声が出ねぇ。
Aは、文字通りボロボロだった。何をしていたのか、聞くのも馬鹿らしい程に。
「まだ生きてる…が、会話は無理だ。ただ、声は聞こえてる…どうか、最期に言葉を伝えてやってくだせェ…」
「さい…ご…？」
うわ言のような声がもれる。磯撫からAを受け取った途端に足に力が入らなくなって、そのまま膝をついた。
最期…最期ってなんだ。Aは…どこにいた……。
「入れ替わった場所は兄さんの読み通りでござんす。アヤメの力を使った」
淡々と事務的に磯撫は言う。
「アンタの元で死にたいと…お嬢は言ってやしたよ」
「は…？」
「アンタの元…アンタの根本。サンジという男の心の奥深くに死んだ後も、寄り添っていてぇとな」
わかってた。あの時、Aが断ったのは…俺の為だって。
でも、俺は…っ、俺は…Aに生きて欲しかった。
Aの命を諦めたくなかった。
「Aは…なにをしてた…っ」
俺は、Aを置いて何をしていた…？
体が震える。どうしようもなく寒い。それから逃れたくてAを抱きしめると、微かに首に息が当たる。
「お嬢は…」
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銀之助(プロフ) - 未だにお気に入り登録、お気に入り作者登録、ハートの通知などをたくさんいただき、ありがとうございます。この場を借りてお礼申し上げます。これからも長く楽しんで頂けたら、幸いです。 (2022年9月16日 22時) (
レス) id: 9c08df65af (このIDを非表示/違反報告)
銀之助(プロフ) - 香さん» コメントありがとうございます。かなりの長編だったのに全部読んでいただき、面白いと思っていただけて嬉しいです。キュンキュンをお届けできて一安心いたしました。 (2022年5月12日 21時) (レス) id: 9c08df65af (このIDを非表示/違反報告)
香 - 本当に好きすぎです…面白かったしキュンキュンしました！ (2022年5月9日 11時) (レス) @page48 id: 64178017ff (このIDを非表示/違反報告)
銀之助(プロフ) - たろ。さん» コメントありがとうございますー。一気読み嬉しいです！ありがとうございます。サンジくんの魅力を損なわず書けていたなら、本当に良かったです。 (2022年4月9日 22時) (レス) id: 9c08df65af (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - やばいめっちゃ泣いたし一気読みした…サンジくんたまんねぇなおい。 (2022年4月5日 3時) (レス) @page48 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：銀之助
| 作成日時：2018年7月11日 21時
