209.殿 ページ18
「アラディン！！お前達！！」
麦わらの一味の船を守るように横一列に海面から魚人達が上半身を出す。
列の端にいる魚人は姿が霞んで見える程の数だ。その背中から発せられる覚悟に息を飲んだ。
「逃げろジンベエ！！麦わらの一味！！お前達の出航を祝福する！！！」
朗々とその声は言った。
そして始まる、タイヨウの海賊団とビック・マム海賊団の戦闘。
ここに残ってる方が魚人達の邪魔になる。早く彼らの為にもここを脱出するべきだ。
「早く逃げなきゃ…！」
「あァ、浸水は帆船の弱点。速やかに水をはき出せ！！」
その視線はビック・マム海賊団と戦う仲間達へと向けられていた。
「船も重く遅くなっとる。帆の穴を補正し、充分な角度で風を受け…極力最高の速度で進め！！！」
「えっ…」
見捨てられる程、冷酷じゃないか。
「ナワバリを出るまで、まだ数時間かかる…！！」
「何言ってんだよ！！ジンベエ！！何の説明だ！！」
「ルフィ」
「！！」
砲撃の音、仲間達の声、叫び声を聞いていた。
「わしァ、あいつらを置いてはいけん！！！」
「よし！！わかった！！じゃあ俺達も！！」
「ルフィは無理だよ！私達でやるから寝てて！！」
バタバタと準備を始めるルフィの肩を掴んだ。
「この船を逃がす為のしんがりじゃ！！！ここまで来て、あの母船と艦隊に追われたら脱出は叶わんぞ………！！！」
ビック・マムの海賊旗を掲げた遠近感が狂う程に巨大な船は、荒れる海の中確かに距離を縮めてきている。時間は多く残されてない。
唇を噛み締めるルフィに向き直ると、高らかに宣言した。
「この最後尾！！わしに務めさせてくれ！！！しかとやり遂げ生きて戻る！！！」
ルフィが眉を釣り上げて睨んでいる。
どういう決断を下すのか、双方の顔を交互に見て次の展開を待った。
「忘れんなジンベエ！！お前の船長は俺だぞ！！！」
そうだ死にに行かせるようなモンだ。
「船は止めねェ…！！」
この判断は間違ってはいない。
「ワノ国で待ってる！！！必ず来い！！！」
思っていたのと違う言葉にルフィを見る。
だって、あんな状況で行かせるなんて死にに行かせるようなものだ。
「かたじけない！！！」
「死んでも死ぬなよ！！！」
頭を下げるその顔は微かに微笑んでいた。
その表情はついて行く男に間違いはなかったと確信しているようにも見える。
「ナミ！！なるべく速く！！遠くへ！！魚人の本気は海流を変える！！」
「うん！！わかった」
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銀之助(プロフ) - 未だにお気に入り登録、お気に入り作者登録、ハートの通知などをたくさんいただき、ありがとうございます。この場を借りてお礼申し上げます。これからも長く楽しんで頂けたら、幸いです。 (2022年9月16日 22時) (
レス) id: 9c08df65af (このIDを非表示/違反報告)
銀之助(プロフ) - 香さん» コメントありがとうございます。かなりの長編だったのに全部読んでいただき、面白いと思っていただけて嬉しいです。キュンキュンをお届けできて一安心いたしました。 (2022年5月12日 21時) (レス) id: 9c08df65af (このIDを非表示/違反報告)
香 - 本当に好きすぎです…面白かったしキュンキュンしました！ (2022年5月9日 11時) (レス) @page48 id: 64178017ff (このIDを非表示/違反報告)
銀之助(プロフ) - たろ。さん» コメントありがとうございますー。一気読み嬉しいです！ありがとうございます。サンジくんの魅力を損なわず書けていたなら、本当に良かったです。 (2022年4月9日 22時) (レス) id: 9c08df65af (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - やばいめっちゃ泣いたし一気読みした…サンジくんたまんねぇなおい。 (2022年4月5日 3時) (レス) @page48 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：銀之助
| 作成日時：2018年7月11日 21時
