156.ヘッドハンティング ページ10
「おー!!見ろ!!サニー号だ!!」
「海岸まで一直線か!!」
「ひとまず、生きて島は出れそうね。ペドロさん」
「そうだな」
あれがサニー号。そういえば、見るのは初めてだったかもしれない。遠巻きだから、そこまで詳細には見えないけど可愛いフォルムをしている気がする。
私が座ってサニー号を見ている後ろで逃げ切った事にキャロットがナミに飛び付いて喜んでいた。
「ナミの作戦すごいー!!」
「さっすがナミさァ〜ん♡」
サンジ君が息をするようにメロリン状態になって立ち上がって喜んでいるせいで、私は片腕だけ持ち上がっている状態だ。
「ビッグ・マムがゼウスに乗らねば振り切れるな!!」
「筋斗雲みたいに速いもんねぇ」
…筋斗雲か。筋斗雲と言ってしまうと憧れるな…あの雲。
私は乗れ…乗れるかなぁ……無理だなぁ。
「ゼウスって言うの?」
「ああ、あの雲はママの魂でつくられ……」
「うん、おいらゼウス!!」
私達の上にモクモクとした影が落ち、その先にはゼウスがふわりふわりと浮かんで見下ろしていた。
「ゼウス様ァ!!」
「ゼウスー!!!」
「気を付けろ手強いぞ!!」
サンジ君が私を背中に庇う。
違う…そうじゃない。君が私を庇っても何の意味も無い。
ー役立たずね、本当に。産むんじゃなかったわ。
お母さんの言葉が頭に響いてギュッと目を閉じた。
今の私は…役立たずだ。
私は戦えるから、ここに居れていた。そんな力が無い今…私がここに居る意味が無い。
記憶を取り戻してから、この何も出来ない今の状態が怖くてたまらない。
「ご…め、なさ…」
「A?」
「……っ、あ…何でもない」
思わず口から出てきた言葉が聞こえていたサンジ君が顔だけをこちらに向けた。
私の顔を見たサンジ君が少し難しい顔をしたけど、すぐに前を見る。
……邪魔?いや、皆んな生きろって言ってくれた…でも、建前上言っただけなんじゃ…。
「なーなー!!今のちっちゃい雷雲もっとおくれよ!!」
「え? "ブラックボール" おいしかった?」
その間の抜けた声に力が抜ける。
ルフィがつついても何も言わないし、ナミとも普通に話している。本当に雷雲をおねだりしに来ただけみたいだ。
「ゼウス…じゃあ」
話を聞いて何か考えていたナミが口を開いて、キラキラとした表情でゼウスを見上げた。
「私のしもべになる?」
「なるーっ!!!」
誰よりも大きな声で返事をしたメロリン状態のサンジ君。
「お前じゃなかろう」
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銀之助(プロフ) - ぽんぬさん» そう言って頂けると頑張ろうと思えます。ありがとうございます。デジモンのアプリやってる場合ではないですね!!近々更新致しますので今しばらくお待ちを!!楽しい作品になるように頑張ります!! (2018年7月5日 21時) (レス) id: a47038dbdc (このIDを非表示/違反報告)
ぽんぬ - わ〜!お返事ありがとうございますっ!!それを聞いて安心しました( ˘ω˘ )ほんとに毎日続きが更新されるのを楽しみにしてます!素晴らしい小説をありがとうございます!(><) (2018年6月30日 20時) (レス) id: d30ebc51ac (このIDを非表示/違反報告)
銀之助(プロフ) - ぽんぬさん» 上から目線なんてそんな事ないですよ!コメントありがとうございます!どストライクだったなんて、とても嬉しいです。私も、ああいう関係性が好きなのです。原作に溶け込むように話が書けていて安心しました。少し停滞しておりますが、最後まで頑張ります!! (2018年6月28日 7時) (レス) id: a47038dbdc (このIDを非表示/違反報告)
ぽんぬ - すっごい上から目線になってしまい、申し訳ないです…orz (2018年6月28日 0時) (レス) id: d30ebc51ac (このIDを非表示/違反報告)
ぽんぬ - 突然のコメント失礼します!サンジの夢主に対する接し方がもうどストライクで一気に全部読ませていただきました…( ˘ω˘ ) 原作にも綺麗に話が溶け込んでいてなんの違和感もなく、読むことが出来ました!是非最後まで続けて欲しいです!!更新待ってます(><) (2018年6月28日 0時) (レス) id: d30ebc51ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:銀之助 | 作成日時:2017年12月25日 21時