【ワンピース】どうせ死ぬなら君の元で 4th【サンジ】

169.自滅 ページ27

書き換えられたストーリーはこうだ。
無事にサンジ君とプリンは結婚してるけど、天気が急に崩れてケーキが台無しになって、ビッグ・マムは激怒。
食いわずらいを止めるためにケーキを作り直す…という内容らしい。
悪魔の実は、本当に便利だ。


「結婚って…プリン大丈夫？」
「何がよ」


不機嫌そうに形のいい眉が釣り上がった。
何がって…。


「手の込んだ自 殺じゃん」
「だっ…だから、何が言いたいのよ！！」
「"夫婦"」
「ぐっ…！」


面白い子だなー。女版サンジ君だ。プリンの場合はサンジ君限定だけど。
私が引き金を引いたわけだけど、話が進まないから鼻血を出して倒れるプリンを揺すって意識を呼び戻した。


「それで、私のポジションは？」
「ぅ…Aは、私の弟子って事になってるわ。まだ間もないから雑用だけのね」
「OK！それじゃ行こうか奥様」


また崩れ落ちたプリンとは逆に、コックさん達の意識が戻り一人一人起き上がってキョロキョロと見回している。
プリンの腕を掴んで立ち上がらせ、背中を押せば先程のダメージが嘘のように歩き出した。


「ところで、Aとサンジ……さんは、どんな関係なの？」


相変わらず乙女な顔をするから笑ってしまう。
なるほど、『綺麗』っていう言葉は魔法だなんて誰かが言っていたけれど本当みたいだ。


「腐れ縁のマブダチ」
「マブ…？」


マブダチという単語を知らないらしいプリンに「親友って事」と付け足して、サンジ君達が待っている工場のドアを開けてプリンに道を開けた。


「ほら、今はケーキ作りでしょ。頼んだよ料理長」


納得のいかないような顔をしたけれど、気持ちを切り替えたのか真っ直ぐ前を見て工場の扉をプリンがくぐった。


「さぁ急いで！！一刻を争うわ！！」


おー、キリッとしてる。頼もしいなー。


「うほおー！コック姿のプリンちゃんもまたカワイイなー♡」


目をハートにして歓喜するサンジ君と目をハートにして倒れるプリン。数秒前の頼もしいという発言を返して欲しい。


「頑張りましょう！旦那様！！」


一足先に立ち直ったサンジ君に、1人のコックさんがそう言った。ただ、状況をまだ理解していないサンジ君は首を傾げる。


「結婚した事になってんだって」
「……」
「どうしたの？」
「あァ…いや…」


私の格好を見たサンジ君がぎこちなく視線を逸らす。んー…なんか顔赤い？


※腐れ縁は、語源である「鎖縁(鎖のように切ることの出来ない縁)」という意味で使ってます。

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