【2018年 バレンタインデー特別篇】 ページ21
バレンタイン。好きな人にチョコを渡すイベント。
でも…でも…!!
「無理じゃん!!?」
私は勢いよく机に突っ伏した。
頭の上から優雅なクスクスという笑い声と大きなため息が聞こえる。
女部屋でナミとロビンに相談しているのだ。
「『料理に関しちゃ全て一流だ!!(A渾身のイケボ)』って言い放てる人に手作りなんてさ!!?」
「Aの手作りなら、炭になっててもサンジ君は食べるわよ」
「想像がつく!!」
100%食べてくれる。
「溶かして、型に入れて固めるだけでもいいんじゃないかしら」
「でもさぁ…」
「海の上で市販チョコは買えないわよ。腹括りなさい」
「……おせつごもっとも」
13日、サンジ君の仕込みが終わった頃を見計らってキッチンに入った私は、本当にチョコを溶かして固めるだけの簡易的なチョコを作った。
見た目は悪くない。
ラッピングも可愛い。大丈夫見た目は悪くない。見た目は……
「………」
「サンジ君ごめん!何故か岩石みたくチョコが硬くなっちゃって…!!!」
サンジ君の動きがチョコを前歯に突き立てた瞬間に止まった。
噛めないの知ってるー!!歯を持ってかれそうだったの知ってるー!!!
カウンター席で頭を抱えて、額を机に擦り付ける。
「どうしよう…!どうしたら食べれる!?」
オロオロする私を無視して、サンジ君がチョコを口の中に放り込んだ。奥歯で噛んでいる音がするが、チョコがたてる音じゃない。
「ダメだよ!!歯が欠けるよ!!」
「うまいよ」
「ぁ……ホント?」
「あァ、クソうめぇ」
そう歯を見せて笑うサンジ君は、窓から差し込む光も手伝って…本当にキラキラして見えた。
絶対サンジ君が自分で作った方が美味しいに決まっているけど、そう言われると嬉しくてくすぐったい。
「あー…なんで硬いんだろ。釘打てそう」
「Aにしちゃ上出来じゃねぇか」
隣にいるサンジ君の大きな手が頭で温かく柔らかく弾んだ。
でも、残念ながらその温度でチョコは柔らかくなったりしない。岩石チョコは岩石のままだ。
「あと2つあるじゃん…」
「そんなに気になるなら…そうだな」
キッチンに立ったサンジ君が牛乳を温めるとマグカップに入れて持ってきた。
「この中に入れる」
「おぉー!」
2つのマグカップに1つずつチョコを入れて掻き混ぜると、牛乳がチョコの色に染まっていく。
頃合いを見てホットチョコを一口飲んでみた。
「クソうまいな」
「うん、クソうまい」
照れくさい味がした。
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銀之助(プロフ) - ぽんぬさん» そう言って頂けると頑張ろうと思えます。ありがとうございます。デジモンのアプリやってる場合ではないですね!!近々更新致しますので今しばらくお待ちを!!楽しい作品になるように頑張ります!! (2018年7月5日 21時) (レス) id: a47038dbdc (このIDを非表示/違反報告)
ぽんぬ - わ〜!お返事ありがとうございますっ!!それを聞いて安心しました( ˘ω˘ )ほんとに毎日続きが更新されるのを楽しみにしてます!素晴らしい小説をありがとうございます!(><) (2018年6月30日 20時) (レス) id: d30ebc51ac (このIDを非表示/違反報告)
銀之助(プロフ) - ぽんぬさん» 上から目線なんてそんな事ないですよ!コメントありがとうございます!どストライクだったなんて、とても嬉しいです。私も、ああいう関係性が好きなのです。原作に溶け込むように話が書けていて安心しました。少し停滞しておりますが、最後まで頑張ります!! (2018年6月28日 7時) (レス) id: a47038dbdc (このIDを非表示/違反報告)
ぽんぬ - すっごい上から目線になってしまい、申し訳ないです…orz (2018年6月28日 0時) (レス) id: d30ebc51ac (このIDを非表示/違反報告)
ぽんぬ - 突然のコメント失礼します!サンジの夢主に対する接し方がもうどストライクで一気に全部読ませていただきました…( ˘ω˘ ) 原作にも綺麗に話が溶け込んでいてなんの違和感もなく、読むことが出来ました!是非最後まで続けて欲しいです!!更新待ってます(><) (2018年6月28日 0時) (レス) id: d30ebc51ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:銀之助 | 作成日時:2017年12月25日 21時