147.燃料切れ ページ1
腕を餅に絡め取られて引き寄せられる。その隙をつかれ、ビッグ・マムの拳が目前に迫っていた。
翼を盾のように大きく広げて衝撃に備える私の視界にヒラリと軽やかな影が横切る。
「レイジュさん!?」
レイジュさんは餅の破壊と私の救出を同時にこなすと、私を抱えたまま軽やかに地面に降り立った。
腕とか細いのに凄い力だな…そこら辺の男の人と比べるのも申し訳ないくらい強い。
「驚いたわ。こんなに沢山の仲間を率いてる女王様だったのね
「女王様なんて、そんな大したもんじゃ…ない、よ…っ」
ギュゥッと心臓を握り潰されるような苦しさに息が詰まる。
今までした事がないような酷い咳が出て、霞んだ視界に入る地面に赤黒い血が飛び散っていた。チクショーやっぱりそんなに長くはもたせられないか…。
「A!?」
「レイジュさん」
背後から来た飴に冷気を放つ。
私達を呑み込もうとしていた飴の波は失速しながらバキバキと音を立てて凍り付き初め、完全に凍り付いた飴に向けて氷の刃を放って粉々にしてやった。
「私が…っ死にかけてるのは、忘れて…」
少し顔を歪ませたレイジュさんの顔が何だかサンジ君に似ていて思わず笑ってしまった。
戦う事以前に動く事すら拒否しようとする身体を鞭打ち、ビッグ・マムに向かって足と翼を動かした。
「道連れだビッグ・マム!!」
私が地面に手を付いた地点を中心に生えた木々がビッグ・マムに向かって幾重にも伸び、その身体を絡め取る。
地面から巨大な球体の岩を作り出し、炎をまとわせて放った。
血走った目で私を見たビッグ・マムの手が天に向けて持ち上がり、その先にはゼウスという黒々とした雷雲が居る。
「雷霆!!」
カッと空が白く光った。
雷鳴と共に岩と木々は破壊され、それが今度は私に向けられる。
炎で防壁を張ったが、防ぎ切れず身体に意識を飛ばす事すら許されない程の激痛と衝撃が襲った。
「……ぐ…ぅっ」
私を見下ろすようにビッグ・マムが立っている。
口からは死にそうな咳が何度も出て、その度に大量の血がバシャバシャと出てきた。
いや、もう口から血が流れ出てるって言い回しの方が正しいか…。
「終わりみたいだな」
私の周りに…もう仲間達はいない。
ここで…私は殺される。でも、それでいい。私は、意味を持って死ねる。
「サ…ンジ……」
その音がとても優しい響きに感じて涙が溢れる。
覚悟を決めて目を閉じたとき、何かが爆発した轟音が鼓膜をビリビリと振動させた。
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銀之助(プロフ) - ぽんぬさん» そう言って頂けると頑張ろうと思えます。ありがとうございます。デジモンのアプリやってる場合ではないですね!!近々更新致しますので今しばらくお待ちを!!楽しい作品になるように頑張ります!! (2018年7月5日 21時) (レス) id: a47038dbdc (このIDを非表示/違反報告)
ぽんぬ - わ〜!お返事ありがとうございますっ!!それを聞いて安心しました( ˘ω˘ )ほんとに毎日続きが更新されるのを楽しみにしてます!素晴らしい小説をありがとうございます!(><) (2018年6月30日 20時) (レス) id: d30ebc51ac (このIDを非表示/違反報告)
銀之助(プロフ) - ぽんぬさん» 上から目線なんてそんな事ないですよ!コメントありがとうございます!どストライクだったなんて、とても嬉しいです。私も、ああいう関係性が好きなのです。原作に溶け込むように話が書けていて安心しました。少し停滞しておりますが、最後まで頑張ります!! (2018年6月28日 7時) (レス) id: a47038dbdc (このIDを非表示/違反報告)
ぽんぬ - すっごい上から目線になってしまい、申し訳ないです…orz (2018年6月28日 0時) (レス) id: d30ebc51ac (このIDを非表示/違反報告)
ぽんぬ - 突然のコメント失礼します!サンジの夢主に対する接し方がもうどストライクで一気に全部読ませていただきました…( ˘ω˘ ) 原作にも綺麗に話が溶け込んでいてなんの違和感もなく、読むことが出来ました!是非最後まで続けて欲しいです!!更新待ってます(><) (2018年6月28日 0時) (レス) id: d30ebc51ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:銀之助 | 作成日時:2017年12月25日 21時