第2話 ライオンのおじさん ページ2
恐る恐る顔を上げてみると、黒い帽子を被った男の人が怪訝そうにこちらを見つめていた。
…何でこの人はあたしに話しかけて来たんだろう。
皆んな、あたしの姿名前を見聞きしたら近寄ろうともして来ないのに。
「おーい、嬢ちゃん?こんな所で一体何してんだ、名前は?」
「…琥珀。蓬莱 琥珀…だよ」
言ってしまった。もうこれでこの人とは二度と会う事はないなぁ…
ほら、やっぱり一目散に逃げて………あれ?
「…琥珀、か。俺は獅子王 暮人だ。宜しくな、琥珀の嬢ちゃん」
…逃げ、ないの?もしかしてこの人、ここら辺の人じゃないのかな…?
「大丈夫か嬢ちゃん。すげー、ぼーっとしてるが」
ひらひらと顔の前で手を振っているこの人。
…ひとつだけ、さっきから気になっている事を言わせてもらおうか。
「…あたし、これでも16歳なの。立派なレディなんだから“嬢ちゃん”じゃあ無いよ、
「おお、そりゃ悪かった…ってオイ!!今おじさんつったか“おじさん”って!?」
…何でこのおじさんこんなに怒ってるんだろ。見たまんまの感想を述べただけなんだけどなぁ。
「俺20歳!!全然“おじさん”じゃないだろ!?」
「…そ、そうなんだごめん…っ、あはははっ!!」
その顔が余りにも必死過ぎて、思わず笑ってしまう。
「おい何笑ってんだよ!?頼むから笑わないでくれよ嬢ちゃん!?」
○ ● ○
暫く経って、漸く笑いが落ち着いてきて気付いた。
あたし、今ので結構目立ったんじゃ…
周りを見てみると通りを歩く人たちが顔を歪めて通り過ぎていく。
…ああやっぱり、あたしの居場所なんて何処にも無いんだ…。
「
「…なんでだ?放って置けないだろ、女の子がこんな所で泣いてちゃあ」
おじさんは本当にあたしの事、何も知らないんだ。
だから周りの人の目線にも気付かないんだなぁ…。
「あたし、【災厄招きの悪魔の子・琥珀】なの。あたしの近くにいたら不幸が襲ってくるし、皆んなに嫌われちゃうよ」
今度こそ嫌われちゃうなぁ。ここまで言ったら流石にこの人だって逃げ出すに決まってる。
「へぇ…嬢ちゃんがあの【災厄招き】なのか……実はな、俺はお前を探してたんだよ。ある村からの依頼でな––––––」
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羽蝶(プロフ) - この企画の企画者様が消えました。ボードでこれからの事を話し合いたいので、続ける気があれば、来てください。 (2018年8月27日 20時) (レス) id: b6bf511456 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の幻想者 - トワイライトさん» うん…ごめんね… (2018年8月22日 20時) (レス) id: 55b7b486eb (このIDを非表示/違反報告)
トワイライト(プロフ) - viviさん» ありがとうございます!頑張りますね^ ^ (2018年8月22日 20時) (レス) id: 8e3d40cfd2 (このIDを非表示/違反報告)
トワイライト(プロフ) - 白夜の幻想者さん» あ、そいえばそうだね…。COMMUも出来ないっけ…? (2018年8月22日 20時) (レス) id: 8e3d40cfd2 (このIDを非表示/違反報告)
vivi - とても面白いです!更新楽しみにしています! (2018年8月22日 20時) (レス) id: d25c8bf1a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:トワイライト | 作成日時:2018年8月4日 8時