fifth shake ページ5
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「昼食べに行きません?」
私の座っている椅子の背を肘置き代わりにしてセンラが言った。
上から顔を覗かれる体勢で、ちょっと気味が悪い。
「ほんとあんたっていちいち距離近いよね」
「Aだけですよ」
「そ。奢りならいいよ」
昼食の話だ。センラの言うことなんて
「もちろん」
まあ、一緒に食べに行ったら必ず奢ってくれるところは信用しているけれど。
□■□
私とセンラは食べ物の好みがよく似ている。
「え、これめっちゃうまい」
「まじ?ちょっとちょうだい」
「いいですよ」
センラが美味しいと言うならきっと私も美味しく感じるものだ。新メニューのそのパスタを皿ごと引き寄せて一口もらう。
「まじだ、美味し!」
「ですよね。当たりでしたわ」
お礼を言ってパスタをセンラに返す。
センラは新作や期間限定に弱いのか、いつもそういうものばかり頼んでいる。当たりだったらくれるし、普通とかはずれだったら味のことには触れず笑顔で完食する。
でもなんとなく気になって聞いた。
「センラって迷ったらこれみたいなお決まりのものとかないの?」
「Aでいうグラタンみたいなもんのこと?」
「そう」
「んー、まあ誰かさんが新しいもんとか限定もんに弱いのでお試し役になってるだけですよ」
答えにはなっていなかったが、言わんとすることはわかった。
気付かなかった。こいつ、だから私と来たらそうなのか。
「……そ」
悔しさと何かの感情があって、ぶっきらぼうな声になった。
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ちょこ - とてもよかったです!その後話が欲しい! (2022年6月6日 14時) (レス) @page15 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - 乃々夏さん» コメントありがとうございます!こんな思いつきの作品に何度もコメントをくださって本当に嬉しいです、ありがとうございます。ご縁があればまた別のところでもよろしくお願いします! (2021年9月25日 23時) (レス) @page14 id: 17af415a1e (このIDを非表示/違反報告)
乃々夏(プロフ) - 完結おめでとうございます!楽しく読ませていただきました…!更新の通知がとても嬉しかったです!お疲れ様でした! (2021年9月25日 23時) (レス) @page15 id: e426f8e368 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - リゼさん» ありがとうございます!完結したのでよろしければ最後まで見ていってください^^* (2021年9月25日 3時) (レス) id: 17af415a1e (このIDを非表示/違反報告)
リゼ - この作品めっちゃ好きです…! (2021年9月12日 13時) (レス) id: c4d3492aa9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ノア | 作成日時:2020年8月27日 14時