episode 55 ページ11
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ビールの空き缶で溢れ返るテーブルを前に、うらたはスマホの画面を眺めている。
“すみません、昨日ライン見てなくて。せっかく誘ってくれてたのにすみません”
“よかったらまた”
「『また』なんかあるのかよ……」
消え入りそうな声が零れる。ガチャッとリビングのドアが開いて、入ってきたのはセンラ。
「頭ガンッガンするわ。どないしようらたん、どうしたらええ？」
「水飲んどけ」
「ほーい」
ぱたぱたと微かなスリッパの音がキッチンの方へ遠ざかる。うらたは依然として画面を見ていた。センラが隣に腰を下ろしても、まだ。
センラは水を軽く飲んでから口を開く。
「そういや話してなかったけど、うらたんの学園恋愛ドラマ見たで。制服まだいけるやん」
「お前あんだけ話しといてまだ話してないことあったの」
「それほどでも。うらたんがああいうドラマ出るの新鮮やったわ。それも主役。新人アイドルがやるイメージやった」
「俺がやってみたくてお願いしたの。演じる時期過ぎてる感はあるけど興味あって」
「生まれ
「俺の場合はな。つかあっちから希望聞いてくる」
「へえ、おもろ」
ちらりと横目でうらたを見る。うらたはセンラとしっかり会話しながら、一度と視線を合わせなかった。
未練を垂れ流した顔でずっと見ているスマホのことは一切言わない。
センラは口下手な友人に心の中で呆れた。
(いっつも大事なことは態度でしか示せへんのやから)
「うらたん何かあった？あの子のこととかで」
こちらから聞いてやれば、うらたは待っていたとばかりに話したそうな空気を出すも躊躇するように目を泳がせる。センラは水を飲みつつ時間を潰した。
「……夜、誘ったんだけど」
思ったより進んだ話に「ほう」と食いつくセンラ。しかしうらたの表情を見てすぐにその高揚を収めた。
「返事来なかった。気付かなかったって」
「うわー……それ二択ですね」
思わず天井を仰いだ。なるほどそれは悩んでしまうのも無理ない。
本当に気付かなかったか、あるいは――遠回しな拒絶か。
多くの場合後者であるのが現実だ。
それを理解したなら、きっと。
「センラ、……お前ならどうする？」
尋ねられる気がした。用意していた答えはただ一つ。
「うらたんと同じですかね」
知っていたかのような顔でうらたが笑った。
「……っし。決めた」
そして、迷いのない声が凛と通る。
「俺、アメリカ帰るわ」
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む-む(プロフ) - 更新ありがとうございます！いつも楽しく読ませてもらってます…！今後も応援しております！ (2月5日 22時) (
レス) id: e45905575c (このIDを非表示/違反報告)
蟹汁(プロフ) - 最新話とても楽しみにしておりました…！更新嬉しいです！ (1月9日 13時) (レス) @page19 id: 1d876901a1 (このIDを非表示/違反報告)
yume(プロフ) - すごくドキドキする楽しい作品です！更新楽しみにしてますー！ (10月28日 13時) (レス) @page18 id: af9fca39eb (このIDを非表示/違反報告)
きゆか(プロフ) - 更新楽しみにしてます…！いつか続きみたいなって思ってます…！！ (2022年10月31日 0時) (レス) @page18 id: 1051f9e52c (このIDを非表示/違反報告)
みこ - 更新頑張ってください！大好きなお話です！ (2022年10月22日 16時) (レス) @page18 id: 2aca8cdc1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ノア
| 作成日時：2020年8月27日 14時
