Love Traps【urt】【skt】

episode 43 ページ46

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一夜明け、私は大学から帰る途中の交差点で赤信号に遭い足を止めた。

街頭ビジョンから降ってくる声に耳を傾けていると、あの名前が聞こえた。

『主演を務めるドラマ「相談屋」も大人気なうらたぬきさん！人々を惹き付けてやまないその魅力を徹底解剖します！』

つい口の端から笑みが零れた。

……つまり、私も魅せられた一人ってことか。

「馬鹿だなぁ……」

自分に向けて呟き、青へ変わった信号に従って横断歩道を渡る。

再び道に沿って歩いていくと、隣に黒い車が停まった。

コンコンと窓を叩くような音。合図に思えて振り向けば、うっすらスモークのかかるガラスが少しずつ下がって赤い髪が見えた。

「奇遇やな。帰るとこか？」

「坂田さん……！」

日中に会うのは二回目かもしれない。街中でこんな風に出会うのもそういえば二回目だ。

仕事中ですかと普通に話しかけそうになって、はっと数日前の出来事を思い出す。

「……えっと、その……し、仕事中ですか？」

意識しまくってしまい、坂田さんの方を向きつつ微妙に視線を外しながら尋ねる。

坂田さんが少し眉根を寄せた。

「そうや。時間空くから一旦帰るけどな」

「なるほど、そういう感じなんですね。私も曜日によってはそれやります、講義の間がすごい空いたりするので」

「ふーん。なんで目合わせんの？」

ぎくっと肩が跳ね上がる。

合わせないんじゃなくて合わせられないってこと気付かないのかなあ……！？

うらたさんなら気付いた上でのからかいとして言ってきそうだが、坂田さんは本当に分かっていない様子だ。言葉というのは使う人によってここまで変わるのか。

「ひとまずええわ。道同じやし送る」

後部座席のドアが自動で開いた。会釈し、「お願いします」と運転席の黒服さんに言いながらありがたく乗り込ませてもらう。

「慣れてきたな、お前も」

「あ……はい」

図々しくなってしまっただろうか。頭を下げかけた私を坂田さんは手で制して、

「素直に受け取る方が俺は好き」

淡い微笑とともに言ってくる。

高鳴った鼓動の裏に、もやもやとした塊があった。

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