episode 39 ページ42
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他愛ない話をしたりゲームしたりして楽しく過ごした頃、スマホが着信を知らせた。
“うらたぬき”
少し鼓動が速くなる。
あの出来事があってから途絶えていた連絡が、彼の方から。
くろに画面を向けて「出るね」と言うと、驚きながら親指を立ててきた。
「もしもし」
『あ、もしもし?』
うらたさんじゃない男性の声が応じた。
「!? 誰ですか……?」
『おおごめんごめん、うらたんのスマホやもんな。うらたんやなかったらびっくりするよな』
「あの、誰……」
『センラ。うらたんの友達です。うらたんがお世話になってますー』
「……こちらこそ……」
陽気な雰囲気につられてやり取りを返してしまう。
謎すぎる。センラさん?うらたさんはどうしたの?
『そんで、君に電話した理由なんやけどな。うらたんが風邪引いてしまいまして』
「え!?」
うらたさんが風邪!?ほんとに!?
電話できないくらい辛いのか……。
『住所教えますから看病しに来てくれません?俺も仕事があって付きっきりは無理なんですよ』
看病……うらたさんの家に行って?
心配な気持ちはあるがうらたさん本人から頼まれたわけではないし、前回の別れ際に「しばらく会いません」と言い放った私が自分から動くのは憚られる。
『ほな住所送っときますんで。よろしくお願いします』
私に言葉を発する余地を与えず通話が切れた。
まだ行くって決まってないのに……さすがうらたさんの友達。
「なんかあったん?てか本人やった?」
「友達だった。うらたさんの。うらたさん風邪引いたみたいで、看病しに来てほしいって」
「へー。ゆーてもたかが風邪やろ?あっちも大人やし、看病いるん?」
「……さぁ。私は一人で治すけど」
スマホが震え、トークルームに吹き出しが増えた。都内の住所が書いてある。うらたさん
風邪に苦しんで寝込むうらたさんを想像すると、私は自然と支度を始めていた。
「心配だから行きたい。行ってもいい?」
「おけ!鍵閉めとくから、早くいってあげー」
「ありがと!いってきます」
「いってら!」
明るい笑顔に送られ、自宅を出る。
ナビアプリに彼の住所を入力し、できるだけ急いで向かった。
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エス(プロフ) - ノアさん» いやー!!続きが楽しみですね!一生付いてきます!これからと体は気をつけて更新ゆっくりでもいいので頑張ってください!それと続き編ありがとうございます! (2020年8月27日 20時) (レス) id: 3190ad61df (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - ミルクショコラさん» 夏休みですか!最高ですよね!!短いのは残念ですが、是非とも満喫してください^^* (2020年8月27日 18時) (レス) id: 17af415a1e (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - エスさん» そう言っていただけて嬉しいです!私もどうなるかわかりません笑 これからもお付き合いくださると嬉しいです! (2020年8月27日 18時) (レス) id: 17af415a1e (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - 東雲さん» こちらこそありがとうございます!!長らくお待たせ致しました(汗) 続編移行したので是非これからもよろしくお願いします! (2020年8月27日 18時) (レス) id: 17af415a1e (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - わかさん» 私がきっかけなんですか!?めっちゃ嬉しいですありがとうございます……!これからも頑張ります! (2020年8月27日 17時) (レス) id: 17af415a1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ノア | 作成日時:2019年9月5日 19時