episode 23 ページ26
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撮影終わり、ふとあいつを思い出してラインする。
“暇か?”
それからスタッフさんと話したり、共演者の差し入れを食べたりした後でラインを開くと、Aから返信が来ていた。
“暇です”
「よし」
小さくガッツポーズする片手間、返信を打つ。
“ならここ行こうぜ”
俺は昨日共演者から聞いた場所の写真を送った。
□■□
切り分けたパンケーキの一つをフォークで刺し、口に運ぶ。
「うっま!いい感じに甘いしすっげーふわふわ……やべえなA!」
対面の彼女に向かって思わず少し身を乗り出して、その表情に目が留まる。
「……!!」
Aはフォークを口から抜いた状態で静かに感動していた。
そのまま俺を見て、幸せそうに破顔する。
「美味しいですね!」
俺はAから目を離せなくなった。
……可愛すぎねえ?
「食べないんですか?」
「……ああ、食べる」
二口目にいこうとしたAに不思議そうに尋ねられ、俺は誤魔化すように手元のパンケーキを見つめながら切り分けた。
Aは笑顔が可愛い。普段も可愛いっちゃ可愛いが、笑うと数段ぶっ飛ばして可愛い。
だが、俺は後れを取る男ではない。
「美味し……っ」
ベリーソースを絡めた三口目でとうとう声を漏らしたAに手を伸ばす。
そして、唇の端についていた生クリームを人差し指で拭う
「ついてたぞ」
小さな
Aは案の定――赤く、なった。
「……あり、がとうございます」
逃げるように下を向いて、赤い顔でパンケーキを食べ進めるA。
俺は自分の頬が熱いのを感じていた。
……自分で赤くさせといて、いざ赤くなったら予想外の可愛さにやられるとか……ダサすぎる。
「……っはー」
「?」
「いーや。悪い」
会いたくて会ったって、俺とお前、どっちが勝ってんのか探ってばかりで。
意味不明な
「……A!まだいけるか?」
「はい、甘いの好きなので」
「ならあと3件行くぞ!」
「えっ!?……まぁ、多分大丈夫か」
今はいい。今はAとの時間を楽しむことが大切だ。
もちろん、Aも楽しくねえとダメだからその辺も配慮するけどな。
つっても俺はこいつといれば大体何してても楽しいんだけど。
「…………」
――薄々感じてるこの気持ちを認めきれないのは、
「やっぱ、覚悟なんだろうな……」
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エス(プロフ) - ノアさん» いやー!!続きが楽しみですね!一生付いてきます!これからと体は気をつけて更新ゆっくりでもいいので頑張ってください!それと続き編ありがとうございます! (2020年8月27日 20時) (レス) id: 3190ad61df (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - ミルクショコラさん» 夏休みですか!最高ですよね!!短いのは残念ですが、是非とも満喫してください^^* (2020年8月27日 18時) (レス) id: 17af415a1e (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - エスさん» そう言っていただけて嬉しいです!私もどうなるかわかりません笑 これからもお付き合いくださると嬉しいです! (2020年8月27日 18時) (レス) id: 17af415a1e (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - 東雲さん» こちらこそありがとうございます!!長らくお待たせ致しました(汗) 続編移行したので是非これからもよろしくお願いします! (2020年8月27日 18時) (レス) id: 17af415a1e (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - わかさん» 私がきっかけなんですか!?めっちゃ嬉しいですありがとうございます……!これからも頑張ります! (2020年8月27日 17時) (レス) id: 17af415a1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ノア | 作成日時:2019年9月5日 19時