acacia

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お店の外には割とタクシーが並んでる

哲人:やっぱ心配やから送らせてや？

「でも、」

哲人:あかん？

「…」

卑怯かもしれんけど…
勇人さんがあそこまで過保護になって
心配になるのも分かる

今にも寝そうやし
誰かにフラーっとついていきそうやし
襲われたらマジでやばいやん？

そう自分に言い聞かせて…

哲人:A…

それは…ズルいよ…
嫌でも意識してしまう

「…お願いします」

哲人:ん、こっちやでー

少し前を歩く彼
見失わないように距離を取りながら
追いかけて後部座席に乗り込む


哲人:家どこ？

「LASOホテル」

哲人:ホテル住まい？

「んー、家もあるけどほとんど帰らない」

哲人:そうなんや

「今日は、念の為ホテルに帰ります…」

哲人:じゃあそこ向かうな

ゆったりめの曲が流れる車内
バニラの香りがふわっと香って

「てっとはどうして勇人にぃと仲いいの
？」

哲人:なんでやろな
仲良いはおこがましいけど…尊敬する先輩やで？

「そうなんですね…」

何話したらいいんだろう…
勇人にぃとか親戚以外の男の人と
話したことほぼないし
スタッフさんも女の人多いし…

「…トリプルスリーすごいです」

唯一絞りでたのはこれだった…

哲人:ぁ、ありがとう？

「それだけです…」

慣れてへんのやろな…
男と喋るの
一生懸命話繋げようとして…可愛い
タメ口になったり敬語になったり

哲人:Aちゃんは今まで恋人いたことないん？

「…ないです」

哲人:初恋も？

「んー、初恋…」

哲人:勇人さん？

「勇人にぃ…だけはないです」

哲人:ははっ、勇人さん泣くで笑

「ふふ…」

たまに話を振ったりして
ホテルに着いて…地下駐車場に入って

哲人:Aちゃん？

「…zz」

寝てる…寝顔ヤバっ
勇人さん
なんで俺のどストライクの子置いて帰ったん
抑えきかないっす

哲人:Aちゃん、着いたで

後部座席にまわって身体を揺する

「ん…っ…はや…にぃ…だっこ！」

勇人さん…何してんっすか！

哲人:勇人さんは居らんで…起きてや？

「んぅ…？」

シートベルトを外してあげようと
身体を近づけたら首に手が回って

「ぎゅー、」

お酒も少し飲んでたし…酔ってんのかな
ヤバい…かわいすぎやろ///

哲人:…ごめんな

顔バレしないようにキャップを目深に被らせて
横抱きして地下にある警備室で
Aちゃんの名前を言って開けてもらう

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