木蘭の涙～記憶の欠片～ (ページ4)

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母:おはよう、A

父:おはよう

A:おはよう

母:朝ごはん食べちゃいなさい

A:今日は朝ごはんいらない

母:何かあるの？

父:食欲無いのか？

A:…時間が間に合わないの

テレビからの時刻のお知らせは８時を指していて

母:食べないと倒れるわよ

A:大丈夫だよ…じゃあ行ってきます

母:これだけでも持っていきなさい
電車の中で食べれるでしょ？

A:ありがとう

カロリーメイトを鞄の中に入れられて

A:行ってきます

母:行ってらっしゃい

ドアを開けると一気に冷え込んだ風が
頬を掠めて…マフラーに顔を埋める

A:寒っ

車に乗り込んで
最寄りの駅のパーキングまで車を走らせる

A:もうそろそろ雪の時期か

北海道の冬は地獄のように寒い

時計に視線を落とすと
いつもの電車が来るギリギリの時間で
慌ててカバンを掴んで

駅までの道を急ぐ

バンッ

A:きゃっ…ぁ、ごめんなさい
大丈夫ですか？

「そっちこそ…大丈夫？」

A:ごめんなさい！急いでて

落とした鍵を拾って
もう一度謝って改札をくぐる

「……どっかで」

ぶつかった人が私の姿が見えなくなるまで
ずっと見つめてたなんて気づきもしなかった

A:はぁっ……っ

玲愛:おはよ！今日は遅かったね

A:電車乗り遅れちゃって

玲愛:珍しい

A:お腹減ったな…

玲愛:朝ごはん食べなかったの？笑

A:そもそも寝坊しちゃったからね

玲愛:昨日の人となんかあったの？

意味深に笑う玲愛をコツンと叩いて

A:そんな訳ないよ…
ご飯食べて解散したし

玲愛:Aはこの時期何かと不吉なこと
起きるんだから、気をつけてよ？

A:うん

玲愛:さ、仕事…って
カロリーメイト食ってんなよ笑

A:お腹減ったの笑

カロリーメイト片手に
必要な書類とメモを手帳に挟んで
小テストのプリントを印刷して

口の中のカロリーメイトを珈琲で流し込んで

A:じゃ、いってきまーす

玲愛:いってらー

職員室を出たところで予鈴がなる

「先生おはよー」

A:おはよ！もう予鈴なったよー？

「寝坊した笑」

A:ふふ、明日からは気をつけてね

「先生優しっ…でも先生も寝坊したでしょ笑
ここ跳ねてるよ」

A:…バレた？笑

生徒と話しながら教室に上がって

A:あと５分後には小テストするからねー
今日の連絡事項は黒板に書いとくから
一限前までに日直さんは消しといて