サイアイ (ページ33)

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慎吾:A
オレンジジュースあるで

「んー、じゃあオレンジジュースがいい」

仲えーんやな

慎吾と……なんか妬ける

グラスを持つ手が震える

なんで、Aは………

俺の尊敬する先輩のものなんやろ

「……慎吾？」

慎吾:ん？

「遥くんのはお酒軽くしてね…」

遥くん……ね

俺のはいる隙間は1ミリもないんかな

慎吾:氷多めにすればえーやろ

任せるーと言って
後ろにある椅子に座って
オレンジジュース飲んで呑気なやつ

「慎吾…日ハムだったんだね」

慎吾:知らんかったんやな

てっきり知ってるのかと思ってたし
なんなら俺と遥輝さんの関係も

「試合見に行ったことないから…」

慎吾:なんで？

「遠く感じるから…」

慎吾:遥輝さんは遥輝さんやろ

「全然違う……私に見せる顔は
ずっと優しいもん」

テレビ中継はたまに観るらしく
険しい顔だし笑うことも少ないし

何より観客の声援がそう感じさせるらしい

慎吾:ほら、持ってけよ

「うん……」

遥輝:A…？

「ハイボールになりまーす♪♪」

遥輝:店員さんにでもなるん？笑

「ビールの売り子のバイトしようかな」

遥輝:絶対やめとき、腰痛めるで
あんな重たいタンク

遥輝さんの横に座ると当たり前のように
腰に手が回って優しい顔を向ける

勝ち目ねーな…ホンマに

遥輝:1口飲んでみる？

「んー、悪酔いしそうだから飲まない」

慎母:はい、だし巻き玉子ね

「ありがとう…っ」

Aが笑うと周りの人までメロメロになる
少し前までは俺の横で笑ってたのにな

遥輝:ん、美味っ

「家で作るのより美味しいでしょ笑」

遥輝:Aのもうまいで
あとは柔らかさやな

「難しいの、焼き加減が笑」

俺が逃げた罰なんかな…

毎年、毎年顔を合わせるのが
なぜか恥ずかしいというか
合わせる顔がないなって思い込んで

もし、レギュラー取ってて
バリバリの一軍選手やったら

そうやなかったかもしれん……

慎母:Aちゃん料理するのね！

A:たまに、笑

慎母:最近の若い子は出来ない子多いじゃない

母:高校の時から彼氏がいたからか
家事はよく手伝ってくれたわー笑

慎母:高校時代からってことは結構長いのね

A:8年くらい……だよね？

遥輝:せやな、ちょうどそんくらいやな

遥輝さんと
高１の時からってこと……？