44 ページ46
「ありゃ」
ブチブチッと鈍い音がして血飛沫と共に木の根が抜けるが、コウは違和感を感じる。
何故ならあまりにも深く根付いていたため腹も綺麗に引きちぎれてしまっていたからだ。
「あ、失敗」
「せんぱ…っ！」
東堂と虎杖の目の前でコウの胴体が真っ二つになる。
途端にやってくる、辺りに充満する鉄の匂いが虎杖にコウの死を突き付けた。
【悪魔がいなくなったのなら、好都合だ】
不気味な頭部のため顔は見えないが、上半身と下肢が離ればなれになったコウは自らが流した血の海に力なく倒れ込む。
莫大な呪力も消え去ってしまった。
【領域展______】
絶好の機会と花御が領域を展開しようとした途端、音を立てて帳が破られる。
上空にはこちらを見下ろす一人の人物。
「さて。どこからいこうか」
【どうやらここまでのようですね】
「五条先生！？」
虎杖が目を細めて師の姿を視認すると同時に、花御の体を根が覆い始める。
【退きます。五条悟を相手にする程驕っていない】
「ざけんな！何がしてぇんだよテメェらは！」
「ブラザー」
コウのことも先日の吉野のこともあって、カッとなった虎杖が逃がすまいと花御に近付こうとする。
それを東堂が険しい顔で引き留めた。
「東堂！なんで止める！」
「それ以上進むな。巻き込まれるぞ」
そう言い、東堂はコウの亡骸も巻き込まれぬよう引き寄せる。
その瞬間、地響きと共に五条の虚式「茈」が花御のいたところを大きく抉りながら通過していった。
「っ！？」
「相変わらず規格外だな」
音が鳴り止み、煙が晴れた頃には地形が大きく変わっていた。
「これでは祓えたかどうかもわからん」
思わず虎杖はあんぐりと口を開けるが、ふと大事なことを思い出す。
「先輩！！」
地面に転がるコウの上半身に駆け寄る。
顔は相変わらずあの怪物のままだ。
大量に流れていた血は既に止まっており、いや、止まったというよりも流れ切ったという方が正しかった。
「シスター…最期まで走り切ったんだな…」
「ごめん…先輩…」
コウの上半身を抱えながら二人は歯をぐっと食いしばる。
よくよく考えてみれば、コウは花御に殺されたのではなく自ら無理をして二つに裂けたのだが、二人はそんなこととっくに忘れていた。
はたから見れば滑稽な光景だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 86人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シバ(プロフ) - 春光さん» ありがとうございます‼︎めちゃくちゃ嬉しいです😭拙い内容かもしれませんがこれからもよろしくお願いします！ (2022年4月9日 23時) (
レス) id: 23e6976bb8 (このIDを非表示/違反報告)
春光 - 私的に凄い好きな物語でした｡◕‿◕｡ 後編、楽しみです。更新頑張ってください!! (2022年4月3日 15時) (レス) @page49 id: 51abf968eb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：シバ | 作成日時：2022年3月27日 1時
