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七海side







「ありゃー?七海だ」


「お久しぶりです。(ツォン)さん」



医務室で家入さんに治療を施してもらい、彼女が用事があるからと出て行った時。

医務室の扉が開いて見知った顔がこちらを覗く。



「コウでいいのに」



昔は拙かったが今はもう違和感のない日本語(異国語)を話しながら彼女は私の隣に腰掛ける。



「怪我したの?」


「よく分かりましたね」


「私、()が利くから」



医務室にいるのだから怪我をしていることは容易に想像できる。

だが彼女の視線は迷うことなく私の脇腹に注がれていた。



「今回は厄介な呪霊だったのかな?」



随分と意味深な言葉を私にむける。

まるで先程の戦いを知っている(・・・・・)かのような口振りだ。



「ええ。貴方は一体どこまで知っているんですか?」


「別に何も。七海に残った呪霊の匂い(・・)から見た(・・)だけだよ」



私を見つめるその目の奥に潜む熱_______私はその正体を知っている。

彼女が何を好んでいるのかを考えれば容易に想像できることだ。

“恐ろしい子供”だ。



「はあ。無闇に首を突っ込むのは感心しません。いくら五条さんが貴方を信頼し自由を与えていても、貴方は子供なのですから」


「自由、ね。私って自由なのかな」



彼女がいつも授業をサボっていることは周知の事実だ。

ちゃらんぽらんのあの上司を超える自由人だと思う。

だが、そんな彼女から発せられた声は酷く悲しげで、思わず返す言葉を失ってしまう。



「そろそろ皆のとこ戻んないと学長に怒られちゃうなー。知ってる?学長のゲンコツちょー痛いの。ま、真面目な七海はゲンコツされたことないか」



先程の声色を紛らわせるかのように勢いよく立ち上がり、私に笑顔を向ける。



「お大事にねー!」



ヒラヒラと手を振って医務室から出て行く。

その様子があまりにも軽薄な彼(五条さん)にそっくりで、思わずため息をついた。





彼女は恐らく私も知らない”何か”を抱えている。

五条さんが異様に彼女に肩入れする理由もその一環だろう。





今日は久しぶりに彼女_______宗可馨(ツォン・クゥシン)とまともな話ができた気がした。

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シバ(プロフ) - 春光さん» ありがとうございます‼︎めちゃくちゃ嬉しいです😭拙い内容かもしれませんがこれからもよろしくお願いします! (2022年4月9日 23時) (レス) id: 23e6976bb8 (このIDを非表示/違反報告)
春光 - 私的に凄い好きな物語でした。◕‿◕。 後編、楽しみです。更新頑張ってください!! (2022年4月3日 15時) (レス) @page49 id: 51abf968eb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:シバ | 作成日時:2022年3月27日 1時

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