9こ ページ10
目を覚ますと、頬には何故か涙が流れていた。
悲しい夢じゃなかったのに、なんでだろう。
頬には乾いた涙の感覚があって、かなり前から涙を流していたのだと気づく。
…とにかく顔を洗いにいこう。
そうしてベッドから体を上げたときだった。
『やっと起きたー』
「へ？」
『おっはー』
「ええ！？」
僕以外いるはずの無い部屋に、僕以外の人がいた。しかもそれはAちゃん。
確かに昨日の夜別れたはずなのにどうして僕の部屋にいるんだろう。
もしかしたらこれも夢なんじゃないか。
頬を摘んでみた。
痛い。夢じゃない。
『なにしてんの？』
「夢かと思って」
『夢じゃないよー。見てよほら』
ずい、と顔に押し付けられたのは目覚まし時計。それは見事に顔に当たって痛い。
「近すぎて見えないよ…！」
『あ、ごめんごめん』
小さな子どものような悪戯な笑みを浮かべている所をみるとわざとだろう。
時計を受け取り、苦笑いを浮かべたところで、固まった。
「え、待って、11時…？」
休みだからって目覚ましをセットせずに寝てしまったからか。
この時間だともう朝食も残っていないだろう。
悪いことをしてしまった。
『休みだからって寝すぎ！
しかも今日約束してたでしょ！』
「約束って…。あ、」
____ねえ、今週の日曜日空いてる？
はっと気づいた時にはもう遅い。
目の前の彼女はぷくーっと頬を膨らませてハリセンボンみたいになっていた。
『やっぱり忘れてたんだ…！
今日は私とお買い物dayでしょ！』
それを強調するかのように、彼女から何時もより甘い香りがした。
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akua(プロフ) - コメントありがとうございます。ラストまで読んでいただいて嬉しいです。きっと来世で彼女は普通の人として幸せになっているはずです。 (2019年4月29日 23時) (
レス) id: 9558b5da00 (このIDを非表示/違反報告)
のえたん(プロフ) - ラストの方、何度も読んでしまいました。彼女は来世で幸せになっていて欲しいです。 (2019年4月29日 20時) (レス) id: ee02f97984 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：akua | 作成日時：2018年4月23日 22時
