8こ ページ9
『ねえねえ、どうして泣いてるのー？』
ああ、これは夢だ。
そう気づくのにそう時間はかからなかった。
目の前には小さい頃の僕と、Aちゃんがいる。
確かこの日、病院で無個性だと知らされて、一人で公園で泣いていたんだ。
「僕、無個性なんだって、ヒーローに、なれないって…っ」
小さな僕の瞳からは大きなしずくがとめどなく溢れては落ち、地面を濡らす。
ヒーローになりたかった。
オールマイトのようなヒーローに。
人を助けるヒーローに。
けれどそれは叶わないことだと、幼いながらに知ってしまった。
泣きじゃくる僕の声が、夕暮れの公園に木霊する。
『大丈夫だよ！』
「え…？」
亜麻色の髪が風に吹かれて揺れ、夕日が彼女を照らす。
『イズクは素敵なヒーローになれるよ！
誰よりも強くて優しいヒーローにね！
私が保証する！』
その笑顔はあまりにも眩しくて。
心にかかっていた暗い霧を、一瞬で取り払ってしまったんだ。
『魔法のお歌を教えてあげる！ママが教えてくれたの。二人だけの秘密だよ』
その時彼女が歌った歌はよく覚えていない。
でも確か英語で、幼い僕には意味がわからなかった。
けれどAちゃんの歌声はとても優しくて、まるで天使のようだと。
そう思ったのを、僕は確かに覚えている。
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akua(プロフ) - コメントありがとうございます。ラストまで読んでいただいて嬉しいです。きっと来世で彼女は普通の人として幸せになっているはずです。 (2019年4月29日 23時) (
レス) id: 9558b5da00 (このIDを非表示/違反報告)
のえたん(プロフ) - ラストの方、何度も読んでしまいました。彼女は来世で幸せになっていて欲しいです。 (2019年4月29日 20時) (レス) id: ee02f97984 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：akua | 作成日時：2018年4月23日 22時
