6こ ページ7
「ところで、警察の手伝いは終わったの？」
『んー、ひとまずね。でも、もしまた事件が起きたら手伝うよ』
彼女は大したことはない、といった様子でその緑色の瞳をノートへ向けている。
「何か分かった？」
『それが時間切れで分かんなかったんだよねぇ』
「見つかったのは昨日だけど、実際に殺害されたのはもっと前ってことか…」
『そーゆーこと』
シャーペンを手に取り、いらないプリントの裏に、事件について簡単にまとめてみる。
確か前回の事件は丁度一ヶ月前、その前は今から2ヶ月半くらいだっけ。
その前は、えーと…
『その前はそれから3週間前だよ』
いつの間にかノートを置いて、僕の手元を覗き込んでいたから驚いた。
『多少の誤差はあるけど、大体一ヶ月前後かな』
「よく覚えてるね」
『いつかこの事件の手伝いする日が来ると思ってたからさ』
そして見事にその予想が的中したという訳だ。
彼女はシャーペンを一本取り出して、プリントの上に情報を付け加えていく。
『現場に証拠はなし。殺された人の共通点も特に見つかってない。ただ皆、骨と髪、あとは爪だけが残されてるってだけ』
ぐるり、と今の所を強調するように大きく丸で囲む。
犯行が行われるのは夜。
未だ証拠が見つかっておらず、犯人の目星すらついていない。
「遺体の状態から、犯人はかなりの手練。そしてこれはきっとただの快楽殺人じゃない。手が込みすぎてる。そしたら犯人は何のために…」
まるでヒーローについて考える時のような状態だった。
周りの色も、音も、景色さえ忘れてただひたすらに自分の世界に入り込んで考察を続ける。
『犯人は、殺した人を食べちゃったのかもね』
彼女のクスリ、という小さな笑いが僕を現実へと引きずり戻した。
ふと心が浮くように軽くなって、僕も冗談を言ってみたくなった。
「そしたら犯人は狼かもしれないね」
『案外赤ずきんちゃんかもよ』
お互い顔を見合わせて笑った。
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akua(プロフ) - コメントありがとうございます。ラストまで読んでいただいて嬉しいです。きっと来世で彼女は普通の人として幸せになっているはずです。 (2019年4月29日 23時) (
レス) id: 9558b5da00 (このIDを非表示/違反報告)
のえたん(プロフ) - ラストの方、何度も読んでしまいました。彼女は来世で幸せになっていて欲しいです。 (2019年4月29日 20時) (レス) id: ee02f97984 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：akua | 作成日時：2018年4月23日 22時
