3こ ページ4
「ほーらお前ら席に着けー」
ゆるりとした相澤先生の声と対象的に、クラスメイトは足早に自席へ戻る。
隣のAちゃんを始め、女子はみんな口をモグモグさせている。
麗日さんのクッキーを食べきりたかったようだ。
ホームルーム中も先生の目を盗んでは、右手にストックしておいたクッキーを口に放りなげている。
「心見」
『ふ、ふぁい！』
クッキーを食べていることがバレたのかと驚いて、声が裏返っていた。
「今日のヒーロー基礎学の時間、職員室に来い。
警察が調査を手伝って欲しいそうだ」
奇跡的に先生は気づいていないようだ。
Aちゃんは安心したように、ほっと胸を撫で下ろしていた。
いやいや、安心するのはそこじゃないよ！？
多分朝のニュースで言ってた事件の調査だよ！？
そんな僕のツッコミも虚しく、さらに彼女はポツリと呟いた。
『せっかく気合い入れてハンバーグにしたのにー…』
彼女の個性は名前の通り、触れた相手の「心を見る」力。
しかし、人だけでなく動物、24時間以内であれば物を通して情報を得ることも可能だという。
なので正確にいうと「心」というより「記憶」を見る、の方が正しいかもしれない。
更に付け加えると食べた量に比例して容量が上がるそうなので、毎週水曜日にあるヒーロー基礎学の日は決まってハンバーグを食べているのだ。
気合い入れすぎて、白米なしのハンバーグオンリーだけどね。しかも絶対にくれない。
とにかく、小さい頃から、強く正しく人の役に立つヒーローになるのが夢だった彼女にはぴったりの個性だ。
「とにかく飯食ったら職員室な」
『はーい』
「あとホームルーム中にものを食べるな」
『…バレてた』
教室から出ていく先生の背中を見ながらがっくりと肩を落とした。
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akua(プロフ) - コメントありがとうございます。ラストまで読んでいただいて嬉しいです。きっと来世で彼女は普通の人として幸せになっているはずです。 (2019年4月29日 23時) (
レス) id: 9558b5da00 (このIDを非表示/違反報告)
のえたん(プロフ) - ラストの方、何度も読んでしまいました。彼女は来世で幸せになっていて欲しいです。 (2019年4月29日 20時) (レス) id: ee02f97984 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：akua | 作成日時：2018年4月23日 22時
