16こ ページ17
予想外の声に驚く僕に近寄ると、こちらを睨みつける様にして顔を近づけて言った。
「Aの誕生日は」
「は？」
「早く答えろ！くそが！！」
「は、8月の30日」
「血液型、性格、好きなもの」
「O型、正義感が強くて、プライドが高い。好きな食べ物はりんご」
いきなりの問いかけに頭が混乱している。
当たり前のように知っている情報を聞いて、何がしたいんだ…？
「個性は」
「え、記憶を読む、能力」
「それだけか？」
「え、だって…」
「それだけの能力で、入試を1位で通過できると思ってたのかって言ってんだよ！」
いつにも増して、真剣な顔。
確かに、考えてみればおかしいんだ。
記憶を読むだけじゃ、説明できないことがある。
「あいつの母親は死んでる。俺らが4つの時に首つって」
「そんなはず…」
「くそババアから聞いたんだよ！」
Aちゃんのお母さんはいつも優しくて、同じ色の髪を揺らして笑ってて。
この前だって、寮への荷物を運ぶの手伝いに行って…
あれ、なんで。
なんで思い出せないんだろう。
「あいつの個性は記憶を読むだけじゃねえ。記憶の操作も出来るはずだ。それに、あのバカ、まだ隠してんだろ」
本に触れた瞬間に、不自然に蘇った記憶。
「早く行け。お前なら分かんだろ、クソ女の場所ぐれーよ」
かっちゃんは気づいていた。
僕がずっと気づかないふりをしていたんだ。
分かっていたのにずっと、逃げていた。
「ありがとう！行ってくる！」
何時も飛んでくるはずの罵声も、今日は飛んでこない。
無言に込められたそれが、強く僕の背を押した。
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akua(プロフ) - コメントありがとうございます。ラストまで読んでいただいて嬉しいです。きっと来世で彼女は普通の人として幸せになっているはずです。 (2019年4月29日 23時) (
レス) id: 9558b5da00 (このIDを非表示/違反報告)
のえたん(プロフ) - ラストの方、何度も読んでしまいました。彼女は来世で幸せになっていて欲しいです。 (2019年4月29日 20時) (レス) id: ee02f97984 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：akua | 作成日時：2018年4月23日 22時
