11こ ページ12
『ちょっとトイレ行ってくるー』
「ここで待ってるよ」
『はーい！』
買い物も一段落した頃、彼女は唐突にそう言うと、荷物を放り出して走りだした。
結局、僕もみんなの分のプレゼントを買ったため、想像以上の荷物だ。
邪魔にならないように近くのベンチに腰掛け、横の空いたスペースにそれらを置いて彼女を待つことにした。
『ねえ、大変！』
休日の人の多いデパートだというのに、彼女の声はよく通る。
酷く焦った様子でこちらへ向かってくるものだから、なにか落とし物をしたのに気づいたのかと思ったが、どうやら違うらしい。
猫のように軽やかに人の間を縫いながら、彼女は激しく動揺したように、しかし声を潜めるようにして言った。
『警察を呼んで…！』
「え！？」
『人が死んでるの、早く！』
突然のことにわけも分からず、言われるがまま警察へ連絡をいれる。
詳しい事は分からないので電話が繋がると同時にAちゃんへ交代して説明をしてもらった。
要約すると、開いた掃除用具入れを閉めようとした際、彼女の個性が発動し、視えたらしい。
中には、固く閉められた黒いビニール袋があり、個性を使ったところそれは記憶の主の死体であったのだという。
彼女は警察と繋がりがあったこともあり、非常にスムーズで、一見イタズラとも思えるこの通報もすぐに取り合って貰えた。
電話を切ると、それを僕の方へ放り投げた。
焦って受け取る僕に、走り出した君。
『雄英にも連絡入れておいて。
私はココらへんを出入り禁止にするから』
そう言う彼女には一切の迷いはなくて。
経験が違うのだということを痛いほど感じさせられた。
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akua(プロフ) - コメントありがとうございます。ラストまで読んでいただいて嬉しいです。きっと来世で彼女は普通の人として幸せになっているはずです。 (2019年4月29日 23時) (
レス) id: 9558b5da00 (このIDを非表示/違反報告)
のえたん(プロフ) - ラストの方、何度も読んでしまいました。彼女は来世で幸せになっていて欲しいです。 (2019年4月29日 20時) (レス) id: ee02f97984 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：akua | 作成日時：2018年4月23日 22時
