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「けど、そもそもAさんが提案したその“草”とX国が秘密裏に育てている薬草を調合して違法な薬が出来るとか、意味分からんわ。そんでAさんの言う“草”の存在が公になれば近いうちに違法な薬の件もバレる思って真っ先にAさんを殺しにくんのもほんまに頭おかしいとちゃうか。身勝手すぎて言葉も出んわ」
「あいつら一日も経たずに禁断症状で全部吐いたもんね。今は鎮静剤で無理やり寝かしてるけど、起きたらまたやばそう」
「ひとらんの言う通りやな…それにA様にどう伝えるか…」
「確かにトン氏の言うこともあるが、問題はもう一つあるだろう」
グルッペンの低い言葉に、ゾムと鬱先生が同時にぴくりと肩を揺らした。
「A殿は観光客だった。先ほどゾムがA殿の部屋を調べたところ、薬を調合した痕跡とこのような紙があっては決定的証拠にしかならん」
会議卓の真ん中に置かれたのはAがX国から受けた勅命を受けた命令書があった。
W国の情報を盗むこと、そして我々軍の幹部か総統を暗殺すること。
「このようなものを見つけてしまっては、A殿を尋問せざるを得ないだろう」
「グルちゃん、今Aさんに話は聞けへんよ」
「分かってる。そこはA殿の意識が戻り次第ぺ神とも相談してからになるだろうな」
グルッペンの返答に鬱先生はまるで感情を殺す様にそっと瞼を伏せた。
また重苦しい空気の中、ゾムが淡々とした声でグルッペンに問いかけた。
「グルッペン、その尋問俺も同席してええか」
「…構わんが、邪魔はするなよ」
「分かっとる」
取り乱す様子のないゾムに、シャオロンはそっと目を伏せた。
X国の外交官とその従者の証言によりAが観光客だという情報を得たゾムは率先してAの部屋を調べると言い出し、念のためシャオロンが付いていったのだ。
一人で調べるというゾムに、本来ならばそういった単独行動は許されないがゾムの心情を無視できなかったため部屋の外で待つことにした。
待つこと数十分、色々と抱えて部屋を出てきたゾムは酷く心細そうな顔でシャオロンに吐露したのだ。
“「ほんまにAは観光客やった…なぁ、俺はどうしたらええんや…」”
同世代のシャオロンだからこそ零したのだろう言葉にゾムの気持ちを知っているシャオロンも言葉が出ず、ただゾムの感情に引きずられるように泣きそうな顔でそばにいることしかできなかった。
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カラバコの中の子犬(プロフ) - 面白すぎて一気読みしました…！言葉の使い方や文章がとても品があり、文も読みやすくとても素晴らしい作品です…！！感動しました！！素敵な小説をありがとうございます！更新をお待ちしております！ (2020年12月30日 14時) (
レス) id: e1ec4a729c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：乃鴉 | 作成日時：2020年12月23日 19時
