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「しんぺい神さん」

「あとはこっちの領分やからエミさんも少し休んでええよ。手伝ってほしい時声かけるから」

「分かりました」

エーミールの心情を慮った言葉なのはエーミールにも通じたのだろう、彼は力なく笑みを浮かべると深く息を吐いた。
エーミールの中で、こんなAの状態を間近で見たのであろうゾムを思うと、今度のことを考え祈るように両手を組んで目を閉じた。

そしてAが倒れたその日、しんぺい神とエーミールが奮闘している頃。

コネシマによって気絶させられ、一般兵に地下牢に運び込まれたX国の外交官とその従者がAを殺そうとした理由はすぐに分かった。
それも最悪な状況で、Aの秘密も知ることとなった。
緊急会議として集められた面々はそれぞれの面持ちで重い空気の中口を開けずにいた。

眠たげな瞳をさらに細くし複雑そうな表情をするショッピ。
布面で表情は読めないが明らかに憤慨するロボロ。
真顔で表情は読めないが横目で鬱先生を見やるコネシマ。
Aを案じ心配そうにしながらもゾムをそっと見るシャオロン。
心を落ち着けるためか火のない煙草を咥えて無表情な鬱先生。
重く息を吐いて軍帽を目深に被るひとらんらん。
常の笑みを潜めて静かに怒気を発するオスマン。
この状況に頭を抱え今後の方針に悩むトントン。
険しい表情で目を瞑ったままのグルッペン。

そして、一番Aについて思うところがあるだろうゾムはフードを目深に被ったままただ静かに気配を殺していた。

ただそれでも微かに漏れる殺気を隣に座っているシャオロンとショッピは辛うじて感じて得も知れぬ緊迫感を生んでいた。
ここにいないチーノとエーミールには通信で話すのも憚られて唯一状況を把握していない。

「…話をまとめよう」

グルッペンの一言に、苦い顔をしたトントンは重い口を開いた。

「まず、オスマンが提案したX国の“草”を輸入する話は当たり前やけど保留や。まず一つ目の問題は、X国は違法な薬を精製して国外に売りつけていたこと。ほんで自分らも使っとったこと。こんなもんに手を出す国と外交やら交渉やらしようとしとったやなんて、恥にもほどがある」

「幸いなのはA様がそれを全く知らずにただX国で庶民も育てられる植物という認識しかなかったってことやね。A様の扱いを見れば当然かもやけど国家機密に値する情報を知らんかったのは納得や」

オスマンの言葉にトントンは小さく頷くが、苦い顔は絶えない。

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作品ジャンル:恋愛
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カラバコの中の子犬(プロフ) - 面白すぎて一気読みしました…!言葉の使い方や文章がとても品があり、文も読みやすくとても素晴らしい作品です…!!感動しました!!素敵な小説をありがとうございます!更新をお待ちしております! (2020年12月30日 14時) (レス) id: e1ec4a729c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:乃鴉 | 作成日時:2020年12月23日 19時

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