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ゾムとひとらんらんが通信不能に気が付いた同時刻、鬱先生はどう操作しても途切れることがない電波の波の音に大きく舌打ちをした。
「グルちゃん、やられた。これ基地の情報処理室の方や。こっちの通信なんも使えへん」
「ほう…どうやって我々の宣戦布告を知り得たのか分からないが先手を取るのはあっちも得意だったということか？」
愉しそうに笑うグルッペンに白けた視線を送るトントン。
だがグルッペンはすぐに目を細めて口角を下げた。
「…いや、宣戦布告を受ける前から、我々の基地に用があったということか」
「グルッペン、それはどういう…」
独り言のような低い声に疑問を投げようとしたエーミールはすぐに言葉を失い乳白色の目を見開いた。
X国がW国の国家ではなく、軍基地に用がある理由など一つしか思いつかない。
「グルさんの予想が大当たりしたわけかぁ、ここまで胸糞悪いのもたまげたわ」
嘲笑するようなトントンの尖った声に、オスマンも怒気を漏らす。
鬱先生は大きく深呼吸して自身を落ち着かせるように煙草に火をつけた。
燻る紫煙の先で光るディスプレイを見つめながら口角を上げる。
「…僕らのことは眼中にないってか。ええ度胸や、この戦争の主役が誰か思い知らせたるわ」
「大先生、どうするんや」
「なぁエミさん、僕らのやることは決まっとる。撤退する理由がなければ突破前進あるのみ、やろ？基地の方はトリシアとロボロの隊が居るから心配あらへん。それなら、少しでも前線やゾムのためにX国の統制を乱しに乱してやるだけや」
言いながらキーボードの上を走る指を止めることはない。
若干テンション高めに悪い声で笑う鬱先生に引き気味のエーミールだが、機械での情報戦に於いて鬱先生の右に出る者はいなく、ある意味では頼もしかった。
「けどグルさん、損害状況を把握できんのはちょっと引っかかるんやけど」
「そうやな、状況把握も兼ねて少し援軍を送るか。基地の機密情報が漏れることはないと思うが、通信を押さえられるのは些か不愉快だ」
「それなら私が。現時点で大先生のお手伝いできることはなくなってもうたし」
手を上げるエーミールにグルッペンは少し考えるように視線を回したが、小さく頷きエーミールの提案に肯定を示した。
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カラバコの中の子犬(プロフ) - 面白すぎて一気読みしました…！言葉の使い方や文章がとても品があり、文も読みやすくとても素晴らしい作品です…！！感動しました！！素敵な小説をありがとうございます！更新をお待ちしております！ (2020年12月30日 14時) (
レス) id: e1ec4a729c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：乃鴉 | 作成日時：2020年12月23日 19時
