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「戦争が終わってX国での私の立場が変わっても、私に対する扱いが全てなくなるわけではありません。一度根付いたものはそう簡単に変わりません。私の傍にいることで、トリシアが傷ついたり、危ない思いをするかもしれません。それでも…私を支えてくれますか」
X国に帰国する前のAであれば、問われることすらなかっただろう言葉に、トリシアはようやく頬を緩めて深く頭を下げた。
「私が、A様のお傍に居たいんです。どうか、A様が必要とされなくなるまで置いてください」
「そう言われると多分ずっと手放せなくなりますよ？」
揶揄うような、半分本気のようなAの言葉にトリシアは満面の笑みで答えた。
トリシアへの解雇状は一旦Aが引き取り、全てが終わったあとグルッペンたちを交えて改めて話すこととなった。
Aが起きたことをトリシアがグルッペンたちに報告したらしく、珍しくトントンが一人Aの部屋を訪ねていた。
「おはようさん、大分寝てはりましたねぇ」
「すみません、このような時に」
「いや、うちにとっても大事なことやったからええです。それに…トリシアとも仲直りしたようやし」
優しい眼差しに、Aはトントンにトリシアへの手紙を渡したことを思い出し「あっ」と小さく声を上げた。
「…その節は本当に申し訳ありませんでした」
「あんまりうちの大事な部下泣かさんとってほしいんですけど」
「うっ…その、今後はそのようなことがないように」
「せやなぁ、A様の無茶に付き合える侍女なんてトリシア以外居らへんやろし」
「私が今後も無茶をする前提だと仰ってます…？」
「むしろせんの？」
さも当然のように真顔で聞くトントンに、Aは沈黙のままついっと目を逸らした。
肯定もしなければ、否定もしない。
それが答えだと分かっているだけにトントンはわざとらしく大きくため息をつきながら仕方なさそうに笑った。
「また問題児が増えるのかぁ」
「…なるべく大事にしないように善処します」
「頼みます、ただでさえゾムもやけどうちは危なっかしいのばっかやから。その分頼もしい奴らやけど」
「そうですね。皆さんがいれば、この戦争も負けないと思えます」
「…その“皆さん”の中に、Aさんもおるんやで」
トントンの言葉にきょとん、と目を丸くしたAは言葉の意味を理解て徐々に恥ずかし気に目元を赤くした。
微笑ましそうにそれを見ていたトントンは嬉しそうに微笑みを返すAに癒された。
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カラバコの中の子犬(プロフ) - 面白すぎて一気読みしました…！言葉の使い方や文章がとても品があり、文も読みやすくとても素晴らしい作品です…！！感動しました！！素敵な小説をありがとうございます！更新をお待ちしております！ (2020年12月30日 14時) (
レス) id: e1ec4a729c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：乃鴉 | 作成日時：2020年12月23日 19時
