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ひゅっと喉が鳴るも声は出せず、ただただ驚愕と困惑と絶望から顔を蒼褪めさせるAに国王は処刑を言い渡した。
曰く、この国を裏切り、国家機密を漏洩させ国の財を脅かした罪として。
それに反論することさえ出来ず、Aは王宮に軟禁されることとなった。
さらに逃げたり密告するようなことがあればAの母親や屋敷の人間も全員処刑するとまで言われ、Aはただ口を噤むことしかできなかった。
「…自らを律し、民を助け、王族としての自覚を持つ。そのために私がずっと成そうとしてきたことは何だったというの」
部屋の中で零れる問いに答える者はない。
ぎゅっと瞼を閉じるとちらついて離れない緑を振り払うように、その日Aは眠れない夜を過ごした。
そしてAの処刑まであと二日となったその日の夜。
絶望を抱えたまま虚ろな目で処刑を待っていたAはふとテラスに繋がるドアが控えめにノックされる音を聞いた。
この国で、特にこの王宮内でAを気遣うものなど一人もいない。
それなのに、まるでAの心に呼びかけるような小さな音にふらりと導かれるようにドアの前に立った。
まさか、という思いと、あり得ない、という思いがせめぎ合い葛藤からすぐにドアを開けられなかった。
それでも一粒の希望に縋るようにそっとドアを開ければ。
見覚えのある緑のパーカーを来た男が一人、若草色の瞳でAを真っすぐに見つめた。
「迎えにきたで」
さも当たり前のように言われる言葉に、Aは思わず小首を傾げてしまった。
「…これは、夢？」
「夢なわけないやろ。頬抓ったろか」
「だって、ゾム様が私を助けるなんて、そんなことあり得ないのに」
「ええから行くで」
呆れたようにため息をついて、Aの返答を待たずに横抱きに抱えるとそのままテラスから危なげもなく飛び降りる。
あまりの早業に抵抗すらできなかったAは移動の最中でハッと我に返りこれが現実なのだと認識してしまった。
これが現実ならば、Aはここで逃げ出すわけにはいかないのだ。
「待ってください！戻って、私がここを出るわけにはいかないんです！」
「聞くわけないやろ。お前が処刑されるなんて、俺が許さへん」
「ゾム様が私なんかを助ける理由も、W国が関わる理由もないじゃないですか！」
暴れるAをどうにか抱え込み、離れの屋敷が前の前に見えたその時。
ゾムはぴたりと足を止めるとさっきまでとは違い怒気を孕んだ声で怒鳴る。
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カラバコの中の子犬(プロフ) - 面白すぎて一気読みしました…！言葉の使い方や文章がとても品があり、文も読みやすくとても素晴らしい作品です…！！感動しました！！素敵な小説をありがとうございます！更新をお待ちしております！ (2020年12月30日 14時) (
レス) id: e1ec4a729c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：乃鴉 | 作成日時：2020年12月23日 19時
