検索窓
今日:5 hit、昨日:1 hit、合計:52,429 hit

19. ページ19

グルッペンたちが会議していたように、X国は密かに違法な薬を王宮の一部で作成し、それを他国に売りさばいていた。
Aがたまたま“草”の話を持ち出したことによって、Aに秘密がばれて他国に知られたと勘違いしたX国がAを口封じに殺そうとしたのだ。
そしてこの違法な薬について、X国が隠しているのはこのことだけではないことを我々軍だけが知っていた。

「それと、そんな薬使う国にチーノ一人で大丈夫なんか?」

「大丈夫そうやで、今んとこAさんの屋敷んとこで単なる警備兵としてやっとるだけやから。それにあっちでも可愛がられてんのかちょいちょい情報仕入れてくるしな」

「相変わらず人の懐に入ってくんのが上手いやつやな…」

「さすがトントンが連れてきたやつや、人の扱いが方別ベクトルでえぐい」

話がAからチーノに逸れたことで鬱先生の声色がほんの少し軽くなったことに気づいたコネシマは聞かれないように小さく息を吐いた。

Aの元に訪れてから数日、ゾムはずっと自室に籠っていた。
それを心配したグルッペンたちだったが、あまり大勢で押しかけるのも憚られて推薦の上ショッピがゾムの部屋を訪ねていた。

「ゾムさん」

「…ショッピくん」

「飯持ってきました。全然食ってないっすよね、チョイスはクソ先輩なので文句はあの人に言ってください」

言ってドアを開けながらトレイを持ってきたショッピは窓際に座るゾムを横目で見ながら机にトレイを置く。
それを見てもゾムは窓から降りようともせず、ただ無表情に視線だけを横に逸らした。

「…A様のことっすか?」

何も答えないゾムに、ショッピはもどかしい気持ちになる。
コネシマの後輩として我々軍に入ったがゾムとはよく組むことがあるし、ツーマンセルというコンビ名も存外気に入るほどゾムの腕前を認めていたし、尊敬もしているのだ。
そんな人物が一人の女相手にここまで感情を揺さぶられるところなど見たことが無くて、それがゾムの中でAがどれほど心の割合を占めていたのかを物語っていた。

20.→←18.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (44 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
108人がお気に入り
設定タグ:wrwrd   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

カラバコの中の子犬(プロフ) - 面白すぎて一気読みしました…!言葉の使い方や文章がとても品があり、文も読みやすくとても素晴らしい作品です…!!感動しました!!素敵な小説をありがとうございます!更新をお待ちしております! (2020年12月30日 14時) (レス) id: e1ec4a729c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:乃鴉 | 作成日時:2020年12月23日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。