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AがオスマンにX国の“草”について提案してから数週間。
あれから特に何の変化もなくいつも通り過ごしていたAはある日急な来客に大慌てでトリシアに手伝ってもらい身支度を整えていた。
「ごめんなさい、トリシア。急に手伝ってもらって」
「いえ、こういう時のための侍女ですからどうかお気になさらないでください。最後に髪をまとめましょうか、首元失礼いたします」
「パーティでもないので簡単で大丈夫ですよ…？」
「確かにA様はどのような髪形でもお似合いですがここは侍女として譲れないところですので」
妙に気合の入ったトリシアに苦笑いしながらもAは安心して身を委ねた。
身支度が終わったAをトリシアが応接室まで送り、部屋にはAだけが入室した。
「遅くなりました」
「全くだ、客を待たせるなど」
「いつものA様も素敵ですけど、やっぱりおめかしした女性は宝石のように綺麗ですね」
Aがドアの前で頭を下げると、憤慨したように既に部屋にいたX国の外交官の怒りの言葉を大仰に遮ったオスマンは立ち上がってAの手を優しく取った。
戸惑うAに構わずさり気なく自分の隣に座らせるオスマンに同じく同席していたコネシマと鬱先生が呆れたように、愉快そうに笑っていた。
Aが入室したことで参加者が揃い外交が始まった。
だが、すぐにオスマンたちW国の人間も、Aさえも困惑する流れとなった。
「ですから、そのような雑草などX国では育てておりませんし認知もしていません。国民が勝手に他国から持ってきたのはないでしょうか」
終始この一点である。
Aの話によれば確かに一部であるが一般の国民が育てられるほど簡易な植物なのにあからさまにそれを認めようとしないX国の外交官にオスマンと鬱先生は目を合わせた。
何かを隠していることは明らかだが、それを強引に暴く用意をしていなかったオスマンは息をついて休憩を提案する。
応接室のドアが開けられ、Aは思わず内心驚いた。
X国の外交官が1人だったことから誰も連れずに急に来たのかと思えば、X国で見覚えのある付き人が我々軍のメイドと一緒に入ってきたからだ。
そしてその付き人はティーカップを二つ手に持ち、X国の外交官とAの前に置く。
急に押しかけたことで手伝いを申し出たのかと、Aが想像しながらティーカップを持ち上げ口を付けた、その瞬間。
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カラバコの中の子犬(プロフ) - 面白すぎて一気読みしました…！言葉の使い方や文章がとても品があり、文も読みやすくとても素晴らしい作品です…！！感動しました！！素敵な小説をありがとうございます！更新をお待ちしております！ (2020年12月30日 14時) (
レス) id: e1ec4a729c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：乃鴉 | 作成日時：2020年12月23日 19時
