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「おん、当たり前やろ。俺らが敗けるわけない」
「ふふ、そうですね。それなら私も、私が成すべきことのために、皆さんのためにできることを探します」
「…王族やからか？」
「いいえ、国民や誰かのためではなく、私のために皆さんのお役に立ちたいんです。確かにお母様の教えは難しいものでしたが、私はちゃんと自分なりに理解も納得もしてそうなりたいと望んでいましたから。ただ、その、ちょっと方法を間違えてしまっただけで…」
「せやな」
「でも、私も、私のために何かを望んでいいって知りました。だからこれからは私の大切なもののために、そして私のためにできることを成していきたいんです」
きらきらと、煌々と、未来への希望に想いを乗せる赤い瞳の中の輝きにゾムは思わず小さく噴き出してしまった。
「ほんま、Aは強いな」
くすくすと笑むゾムに一瞬目を瞬かせたAだが、Aを見るゾムの若草色の瞳がAの考えを肯定しているのを感じ取ってふわりと微笑んだ。
その時、ゾムのお腹からきゅるるという音が微かに鳴り、そういえば元々お昼を誘おうとしていたのだとAに伝える。
「…盗み聞きをしていた言い訳ですか？」
「まだ言うやん、A…」
「冗談です。行きましょうか」
ゾムの手を引いて足取り軽く食堂へ向かうAに、ゾムも嬉しそうに犬歯を見せてその後ろ歩く。
食堂まで着けば先に昼食を取っていたらしいエーミールとロボロがAたちに気が付き、勢いよく立ち上がったエーミールが二人の元に駆け寄った。
「A様！よかった、起きられたんですね」
「はい、少し遅いですが私たちもお昼をと思いまして」
エーミールの視線がAとゾムの繋がれたままの手を捉え、嬉しそうに眉を下げ笑みを零した。
「よかったです、本当に」
「ご心配をおかけしました」
「ええ、ですが、それ以上に嬉しいものです！これで私たちもA様とゾムさんのために動けますから」
本当にそうしたくて仕方なかった、というようなエーミールの弾む声色にAは嬉しさを抑えきれずにきゅっと唇を噛んでからお礼を言った。
エーミールに連れられて残っていたロボロの元へ行くと、ロボロも二人を見て布面越しからでも伝わる微笑ましい雰囲気で片手を挙げて二人を迎え入れた。
一度4人で席に座り、エーミールとゾムが食事を持ってくるために席を立てばロボロはAに向き直り声をかけた。
「ゾムと仲直りしたんやね」
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カラバコの中の子犬(プロフ) - 面白すぎて一気読みしました…！言葉の使い方や文章がとても品があり、文も読みやすくとても素晴らしい作品です…！！感動しました！！素敵な小説をありがとうございます！更新をお待ちしております！ (2020年12月30日 14時) (
レス) id: e1ec4a729c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：乃鴉 | 作成日時：2020年12月23日 19時
