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我々軍総統としてのグルッペンの言葉に、否を唱える声はない。
観光客としてW国にAが送られている以上、少なくともX国に平和に交渉するつもりなど元よりなかったのだろう。
あくまで客観的に述べたグルッペンは会議室に集まる皆を見渡した。
最後に千草色の瞳がゾムを見据えれば、ゾムはそれに応えるように強い意志を感じさせる声で言った。
「グルッペン、俺の気持ちはあの時から変わってない。俺は、Aに幸せになってほしいんや。ここに選択肢があるなら、俺は俺の我がままのためにAを助ける選択をする」
今度はゾムが会議室に集まる皆を見渡す。
「…これは俺の我がままやから、例え俺一人でもAを助けるつもりや。でも、できればAだけじゃなくて、Aが大切に思っとるもんも全部助けてやりたいから」
言いながら、立ち上がり。
「どうか、俺の我がままのために、皆の力を貸してくれへんか」
最後に頭を下げるその姿に、それぞれがそれぞれの反応を示した。
しんぺい神とショッピはゾムが頭を下げたという事実に驚愕から目を見開き。
シャオロンとエーミールはぎゅっと唇と噛みしめて溢れる思いを胸の中で受け止めるように。
ロボロとコネシマは仕方なさそうに口角を上げながら肩を竦め。
トントンと鬱先生はもの言いたげにグルッペンに視線を送り。
最後にグルッペンは見定めるように目を細めて、ゾムに問いかける。
「俺は、A殿のあの目を知っている」
その言葉に、ゾムは顔を上げた。
「全てを諦めたあの目をした者を信じさせるのは骨が折れるゾ？」
「知っとる。信じる怖さも、信じた強さも、全部知っとる。グルッペン前に俺に言ったよな？この国で、この軍で生きる理由を見つければいいって。俺にとって皆がいるこの場所が俺の居場所や。そんで、Aが俺の生きる意味やと思っとる」
「そうか」
思案するように一度目を閉じ、次に目を開けた時、千草色の瞳は好戦的な煌めきを伴いゾムを真っすぐに射抜いた。
「なら絶対に離すな。チャンスは一回、A殿をこの場所に連れ戻す。A殿は観光客だったという事実があるから国に隠しながら連れてこれるのは一回が限度だろう。説得できずに国にバレればA殿はそのままX国に引き渡される。だが、もしA殿を説得できればA殿を我らの同士とし、あのクソな国の根性を叩き直してやろうではないか」
最後に愉快そうに笑うグルッペンに、皆の気持ちが一つとなった。
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カラバコの中の子犬(プロフ) - 面白すぎて一気読みしました…！言葉の使い方や文章がとても品があり、文も読みやすくとても素晴らしい作品です…！！感動しました！！素敵な小説をありがとうございます！更新をお待ちしております！ (2020年12月30日 14時) (
レス) id: e1ec4a729c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：乃鴉 | 作成日時：2020年12月23日 19時
