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いつもは朗らかな雰囲気のチーノからは想像できないほどの無機質な表情に、Aの母親は慄きながらただ頷くことしかできなかった。
すぐに屋敷の庭師を呼び出し、捉えていた同僚の新兵を担がせて一緒に地下牢に降りていく。
ぐったりしている同僚の新兵を簡素な椅子に座らせて、チーノは庭師にきつい口調で言う。
「今から話すこと、内容を口外せんことを誓ってもらいます」
「…それは奥様にも言えないってことか」
「少なくともこちらが判断するまでは黙してもらいます。必要があれば俺から話すんで」
不服そうな庭師だったが、渋々頷いたのを見てチーノはインカムの電源をつけた。
「トントン、大至急確認してほしいんやけど」
「チーノ？なんやいきなり」
「ええから、急いでA様が部屋におるか確認してや」
「部屋にいるも何も、捕虜として扱ってんねんで。居らんはずは」
「ええから！理由なら移動中に話すから！」
切羽詰まったチーノの乱れた声に、トントンは勢いよく立ち上がり一緒に業務をしていたグルッペンに「グルさん、ちょっと確認してくる」と言い残しAの部屋まで急いだ。
「チーノ、説明」
「今こっちの兵士が俺んとこ来て言ったんや。三日後にA様が裏切り者として処刑、昨日王宮に戻ったって」
「は…？」
「おかしいやろ、やってA様はこっちで保護してんねんで？そう簡単に処刑されるはずないのに、何でこんな話になってるんや」
「お前にそれを言った兵士は」
「今拘束してる。許可さえもらえれば拷問してでも他の情報吐かせる」
「分かった、お前はその場で待機や」
異常事態を察したトントンの待機命令に、橙色の瞳に焦りを滲ませるチーノに庭師は思わず詰め寄る。
「どういうことだ！お嬢様が処刑なんざ、なんで！」
「悪いけど、言えへん」
「なぁ、お前んとこはお嬢様を守ってくれるんだよな？だから俺らとこうして過ごしてるんだよな？」
「…俺に決定権はない。W国やったら少なくとも保護できるけど、ほんまにX国に連れ戻されとるとしたら話が変わってくる。そうなればこれはもう国同士の話や」
眉を顰めるチーノに、庭師はぐっと歯を食いしばり何も言えなかった。
その頃、トントンは礼儀もなくノックせずにドアを開ければ、開け放たれた窓に嫌な予感を覚えて駆け寄ると外に向かって投げ出されている一本のロープと机の上に置かれたものに確信してしまった。
「くそっ…！」
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カラバコの中の子犬(プロフ) - 面白すぎて一気読みしました…！言葉の使い方や文章がとても品があり、文も読みやすくとても素晴らしい作品です…！！感動しました！！素敵な小説をありがとうございます！更新をお待ちしております！ (2020年12月30日 14時) (
レス) id: e1ec4a729c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：乃鴉 | 作成日時：2020年12月23日 19時
