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「いいですか、A様。薬は専門家が処方するから“薬”として機能するんです。素人の作ったものなんか薬どころかいっそ毒にすらなり得ます。何故こんなものを作ったんですか」
こんなもの、と言われ一緒にピルケースを出されたAは息を呑んで申し訳なさそうに視線を外した。
「それは…その…」
「…それと、A様のこと、幹部以上は全員知ってます」
「私のこと、ですか」
「A様が何故この国にきたのか、その密命についてです」
「…っ！」
ぎくりと肩を強張らせ、目を見開いたAはすぐに観念したように、諦めたように小さく笑みを零した。
「そうですか…分りました。その解毒は保険なんです」
「保険？」
「はい。私が失敗した時、そして私のせいで大切な人たちが傷つくかもしれない時のためのものなんです」
Aが勅命を果たせなければ、最悪の場合その罰としてAの大切な人たちが傷つけられるかもしれない。
暴力、暴言、様々な悪意があるが、その場にいなければAが助けたくとも手を伸ばすこともできない。
そんな想定の中、毒の存在に思い至ったAはエーミールから本を借りてX国の植物について調べ始めた。
たまたまX国に生息する植物の一部がW国にも存在しており、毒草についても記載があったためその効果を確認し、効果を打ち消すための解毒についても調べた。
Aがオスマンに提案した“草”についてはその副産物である。
薬の知識などないAだが誰にも相談することが出来ず、見よう見まねで密かに解毒を作った。
「元々その解毒もそのまま使うつもりも、私が使うつもりもなかったんです。家族に何かあった場合すぐに助けられるように信頼できる医者にそれを預けて薬として作ってもらえるようにお願いするつもりでした。不格好ですが元があったほうが早く作れると思いまして」
「確かに、これがあったからA様は命拾いしたかもしれません。ですが、あの日からどれほど意識を失っていたか分かりますか」
「どれほど、とは…？もしかして日を跨いでいるのですか？」
「それどころではありません、3日間目を覚まさなかったんです。A様が飲んだこれが原因で体が拒絶反応を起こして本当に危なかったんですよ」
しんぺい神の言葉に、Aの喉がひゅっと音を出し恐怖に微かに体が震える。
まさか自分が作ったものに一時助けられてもそれのせいで死にかけたなど迷惑以外の何物でもないと深く頭を下げた。
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カラバコの中の子犬(プロフ) - 面白すぎて一気読みしました…！言葉の使い方や文章がとても品があり、文も読みやすくとても素晴らしい作品です…！！感動しました！！素敵な小説をありがとうございます！更新をお待ちしております！ (2020年12月30日 14時) (
レス) id: e1ec4a729c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：乃鴉 | 作成日時：2020年12月23日 19時
