24. ページ24
だが、若いと言えど仮にも優秀な幹部。
あれから隠れ続け、逃げ続ける二人のそばで何度もトントンとコネシマの声が聞こえたが、ギリギリのところでバレないスリルに、いつの間にかAも声を潜めるようになってしまい、そんなAの様子に気が付いたエーミールは再度ため息をついた。
何となくAがこのまともとは言えない組織に染められているような気がしないでもないが、知らない振りをしよう、と。
しかしそれも数時間後、ついに裏庭の中で追いつめられた四人は高い生垣の中に身を隠し、逃げ出す機会を伺っていた。
「観念せぇや二人とも！」
「せやぞ！お前らやりすぎやねん！」
「先輩やって似たようなことしたことあるじゃないですか」
「トントンもそうやん！」
「馬鹿やろう俺だって昔はトントンとオスマンにめちゃくちゃ怒られたわ！」
「シッマお前それ堂々と言うことちゃうねんぞ！」
「あとお前らがエミさん拉致ってんのも知っとるからな！」
コネシマがエーミールの存在を問えば、俺だけやないけどな、と遠い目をしながら呟くエーミールにAは申し訳なさそうな表情で頭を下げた。
いつまでこの攻防が続くか、とAとエーミールが思案していると、しびれを切らしたのかコネシマが助走をつけて生垣に向けて走り出し。
「オラァ！ええ加減に諦めぇや！」
と、生垣を飛び越えて突っ込もうとしたその時。
飛び越えた先でエーミールだけではなくAまでいるのを見たコネシマは、だけど空中では何もできずに止めようとしたショッピやチーノの手すらすり抜けてAを庇おうとしたエーミールとAにぶつかる。
その場にいた誰もがそう覚悟し、Aも衝撃に備えて目を瞑った瞬間、「ワン！」と場違いな一吠えが聞こえ白い塊が横からコネシマの横腹に体当たりしたことによってAへの衝突は免れた。
その代わりコネシマは地面に強く体を打ち付けて蛙がつぶれたような鳴き声を発していたが、それに構わず白い塊は颯爽とAの傍にいきその体を座り込んでいるAに摺り寄せた。
「ねぇ、こっちにイフリートこなかった？」
白い軍服を纏った男が生垣の中から姿を現せば、その男はAに擦り寄る大きな白い犬と地面の上で寝転んだまま痙攣するコネシマを見て首を傾げた。
「…何？これ」
「あの、ひとらん様…」
「あれ？A様がなんでこんなところにいるの？」
「た、助かりました…ひとらんさん、イフリートさんのお散歩だったんですか」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 150人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：乃鴉 | 作成日時：2020年6月24日 19時
