42話 首に引っ掻き傷 ページ48
⋆。˚✩
あ、先帰っといて!オレ買ったもの全部置いてきてもたわ
えぇ?だいせんせは相変わらずしんぱいしょうやなぁ…
大丈夫やで、返してもらったらすぐかえる!
「…ミャオ…ニャァオ。」
『…にゃお?』
城下町を去ろうとした時、路地裏から動物の鳴く声がした
気になってしゃがめば赤色の瞳をした黒猫がいた
赤だった。血のように赤く、でも毒々しくはない澄んだ赤。
先程エーミール達と別れた後、お土産とドーナツ達を預かってもらった雑貨屋さんに取りに行った直後だった
『…どしたんお前、どっから来たん…?』
黒猫は撫でてくれ、と言わんばかりにAの足元に擦り寄ってくる。
自分以外のなにかが触れる感覚に慣れていないAはその猫をどう撫でたらいいか分からず、草むらに生えていた花を一輪摘み、黒猫にぽんぽんとあてた
黒猫は鬱陶しそうに花を踏みつけ、またAの傍に寄ってくる
『ふははッ…お前オレのことスキなんか!そーかそか、ええよォ、トンちにお前を置いてもらえるか一緒に頼みに行こかぁ』
傷つけないように手を伸ばすと、それに答えるように黒猫は腕をよじ登りAの着ていた服のフードに入った
『おみやげが増えてしもたなぁ…トンち怒らんかったらええけど…』
荷物を持ち直し、賑わっている人の群れに溶け込み帰路に着いた
(なぁ猫見てや、これだいせんせーが喜びそうやない?こんな感じの、前女の子と見とったんよ)
(これはなぁロボロにあげんねん、うまそうやろ?ゾムの分も含めて余ったらお前にもあげるからな)
フードの中。黒猫の赤い瞳が、静かに揺らめいた。
「……みぃつけた ♪♪」
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春千瑠 - 哀しいなぁ (2023年3月16日 13時) (レス) @page50 id: 6c259301f0 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 続きが速く見たいです! (2022年12月17日 16時) (レス) @page50 id: 730adcd2c0 (このIDを非表示/違反報告)
グロウ(プロフ) - 更新,待ってますね。主様のペースで頑張ってください。 (2022年5月7日 23時) (レス) id: c8247b5933 (このIDを非表示/違反報告)
グロウ(プロフ) - 更新ありがとうございます,久しぶりに見に来たら更新されていて嬉しいです! (2021年6月24日 23時) (レス) id: c8247b5933 (このIDを非表示/違反報告)
愛月咲良(プロフ) - この夢主君は凄く純粋で、優しくて、人を○すのは悪い事なのかは分かりません。ただ法律で禁止されているから、人を○すのは狂ってるなんておかしいのかなって思いました。善意でやったことが人に恐れられて凄く辛いんだろうなとも勝手な想像をしてしまいました… (2021年5月22日 3時) (レス) id: 4a6d894003 (このIDを非表示/違反報告)
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