涙を飲み込んだ ページ9
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「死なないで、死なせないよ。だから、いきて」
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「お前はまた奪うのか?コイツは、コイツは俺の物なんだよ、俺の所有物なんだよっ!!!」
ゴウゴウと燃える炎の中。真っ赤な、誰かの怒りが反映さされたような、そんな炎の中。
男は自分のものを手放すまいと必死に叫んだ。うるさい、こいつはお前のモノなんかじゃないだろう。
私は足を掴んで離さない外道を見下す。体が麻痺しているようでムカデみたいに這ってくる。
触られたくもない、なんか生理的に、キモい。
よくもまあそんなことが言えたものだ。人生を終わりにさせられる前に、この少女を見つけられて良かったと安心した。
「ふーん、で?」
「離せよ!!!俺のモンだろ!!!殺すぞクソがっ、クソ、クソッ!!!仲間に入れてやったのは誰だよ思ってるんだ恩知らずが!!!」
「何言ってるんだお前?私はお前の仲間になったことなんて一度もないぞ」
保護したAの顔を見た。所々かなりの怪我で出血している箇所もある。右目の上は赤く腫れていて、所々鬱血している。
全く、綺麗な顔が台無しだ。
いつもなら元気に笑っているのに、今はまるで死人のような顔色で、血の気が失せていた。
なんかこいつにやられたのだと思うと腹がたつ。
気を失うぐらい傷つけられたのだ。コイツは絶対に許してはならない。因果応報だろう。
横抱きにしたAの口元にそっと耳を近づけた。ヒュー、と微弱ながら息はある。気を失っただけのようだ。大丈夫、まだ生きている。
痺れていても未だに足を離さないこの男の腕を引き剥がす。
ん?引き剥がすというより、蹴り上げたのか?
まあ、いいや。早く伊作に診せなくては。
「待て!!置いていくな!!つゆ、つゆ_____」
地面を掘り進んで来た塹壕に飛び込んだ瞬間、真っ赤な炎が男を包み込むのをみた。
「ありゃ助からないな」
まあ、助ける気も、一切無かったのだが。
炎が襲ってくる前に、冷たい塹壕の中を全速力で駆け抜けた。
伊作は泣いた。
「怪我人を俵担ぎで抱えて全力で走ってくるやつがどこにいるんだよおぉぉおおおおぉおぉお!!!!!」
「細かいことは気にするな!ちゃんと生きてる!」
「そおいうことじゃないいいいいいいいいいいい」
伊作は泣いた。泣きながらAに応急手当てを施した。彼女の怪我の酷さに泣いたのか、小平太の怪我人への扱いに泣いたのか、それは彼自身にしかわからない。
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苺たると(プロフ) - 涙腺ゆるゆるにして見てました…。こういうネタ大好きなので嬉しいです!更新楽しみにしてます! (2020年6月29日 21時) (レス) id: 4ddd192ae6 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼこうどん(プロフ) - MadHatterさん» ありがとうございます!この小説を楽しみにしていただけたら幸いです!無理をせずゆっくり書いていきたいと思います! (2018年3月23日 18時) (レス) id: 4829cee081 (このIDを非表示/違反報告)
MadHatter(プロフ) - ボロボロ泣きながら拝読させて頂きました。続き楽しみにしております。無理だけはなさらないでください。 (2018年3月23日 2時) (レス) id: 17134202e7 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼこうどん(プロフ) - ざわさん» ありがとうございます。3月以降から本格的に更新を再開したいと思います。今回は生存報告としての今の現状とお話をあげさせて頂きました。引き続き応援よろしくお願いします。 (2018年2月12日 23時) (レス) id: 4829cee081 (このIDを非表示/違反報告)
ざわ(プロフ) - ドキドキしながら一気読みしてしまいました! この作品大好きです!素敵な小説をありがとうございます。受験はもうラストスパートでしょうか?お勉強頑張ってください!このコメントが届いているかどうかわかりませんが、心から応援しています...! (2018年2月6日 23時) (レス) id: c9576dec0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かまぼこうどん | 作成日時:2017年7月3日 22時