かわいそうな白鳥の子 ページ3
なんだか昔の、最悪な夢を見ていたような気がした。
うとうとしていたらいつの間にか周りは真っ暗だった。持ってきた縄の端に急いで火をつける。
もう時間だ。行かなくちゃ。
隠れていた茂みの中から這い出た。
持ってきた小刀で近くに蔵に閉じ込められていた子供達を拘束する縄を切り落とす。
案の定、まだまだ幼い子供達数人が捕まっていた。見張りもいないなんて馬鹿だな。
人さらいは次の町に行くまでは子供を売りさばかない。一通り時期を見計らって全員一気に売り飛ばすのだ。
例えば、人手不足な戦寸前の城とか。まあ、一部例外もあるけれど。
逃げな、と静かに抜け出すように促した。
多分一年生よりも幼いだろう男の子がお姉ちゃんは逃げないの?と聞いてきた。風下に走れば帰れるからね。とその答えは言わなかった。
さっきの蔵の手の届く場所にちょうど鉄格子がついた小さな小窓があったのでそこに縄をくくりつける。男たちの野太い笑い声が聞こえる朽ち果てた本堂の柱にその先を結ぶ。
傍目から見たら不自然に鉄格子と本堂の柱に縄が結ばれているということになるが、そこからさらに柱側の方の縄に油を塗って行く。
柱の下には火薬もばら撒いておく。
大きな音と煙を出してくれればいいのだけど。
火つけ石が火花を散らす。立派な時限爆弾の完成だ。
下品な笑いが闇の中に消えていく。
...この面子も変わらない。数年前のままだ。
いきなり現れた私に気づいた男どもは一瞬しんとなる。
酒を飲んでいた真ん中の濃紺の着流しを着た小汚い男、お頭は4人の仲間を本堂の外に追い出した。
あの仕掛けは入り口から真反対にあるし、見張りなら気づかない、と思うけど。
...子供達が逃げたことには、気付くだろうか。
ただ、せいぜい時間稼ぎができればいい。
そう思って喋らない男と___母を殺した敵を見据えた。
「というか、なんで頭はあのガキに執着するんだ」
「さあねえ。趣味じゃないかい?」
「こんな人払いまでして...中でナニをする気だろうな」
廃寺の寂れた石段を2人の男が下って行く。後の2人は町に行くと言ってさっさと先に行ってしまった。だいぶ酔っ払っているようで足元はおぼつかなかない。
これなら簡単だな。と仮面の内側でほくそ笑んだ。
「おや、なぜお頭はAをそこまで手篭めにしようとしているんだい?」
少女が失踪した理由が何かしらあるはずなのだ。今がチャンスだろう。
「それはな、あのガキが前の女の忘れ形見だからだよ」
男は「へえ。」と興味深げに微笑んだ。
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苺たると(プロフ) - 涙腺ゆるゆるにして見てました…。こういうネタ大好きなので嬉しいです!更新楽しみにしてます! (2020年6月29日 21時) (レス) id: 4ddd192ae6 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼこうどん(プロフ) - MadHatterさん» ありがとうございます!この小説を楽しみにしていただけたら幸いです!無理をせずゆっくり書いていきたいと思います! (2018年3月23日 18時) (レス) id: 4829cee081 (このIDを非表示/違反報告)
MadHatter(プロフ) - ボロボロ泣きながら拝読させて頂きました。続き楽しみにしております。無理だけはなさらないでください。 (2018年3月23日 2時) (レス) id: 17134202e7 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼこうどん(プロフ) - ざわさん» ありがとうございます。3月以降から本格的に更新を再開したいと思います。今回は生存報告としての今の現状とお話をあげさせて頂きました。引き続き応援よろしくお願いします。 (2018年2月12日 23時) (レス) id: 4829cee081 (このIDを非表示/違反報告)
ざわ(プロフ) - ドキドキしながら一気読みしてしまいました! この作品大好きです!素敵な小説をありがとうございます。受験はもうラストスパートでしょうか?お勉強頑張ってください!このコメントが届いているかどうかわかりませんが、心から応援しています...! (2018年2月6日 23時) (レス) id: c9576dec0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かまぼこうどん | 作成日時:2017年7月3日 22時