ハートフルボッコだドン!() 2 ページ23
「...」
「...」
なんだしこれ。なんだしこの空間。
いつもなら、怒鳴る(100パーセント原因私)ぐらい騒がしいのに、今は寒くなるぐらい静かだ。
先輩は無表情で私の頭の包帯を取り外していく。
シュルシュル音を立てて外れていく包帯は床に静かに落ちていった。先輩の顔をまともに見れなくて目線は奥の壁の方をぼんやり眺める。
「...痛むよね。化膿しないように、消毒するから」
先輩、めっちゃドン引きしてますやん。なんて言いかけてやめた。今自分の傷がどうなってるかわからないけど、きっと酷いことになってるんだな。
善法寺伊作先輩は優しい。怪我を負った人間には、誰隔てなく手当するような方だから。
きっと、怪我をしている私を見捨てられない。
本音は嫌で嫌でしょうがないんだろうけど。
「先輩」
「...やっぱりしみる?」
「あ、まあ、しみますけど」
「我慢だよ、あともうちょっとだから」
新しいガーゼに変えて、包帯巻いて、テキパキ手当は行なってすぐに終わった。流石六年間不運委員会やってるだけあるよなあ。なんて思って顔をあげた。
「先輩、明日から寝る部屋自室に戻りましょうか」
「...なんで?まだ治ってないだろう?」
「自室で療養します。そこまでなら歩けますって」
「...あのね、A、大怪我してるんだよ?足だって、左足に大きな切り傷あって、痛いよね?
頭、腹部、肩、太腿、頰、腕、何箇所も何箇所も打撲やら切り傷やらがあるんだ。熱も出ているはずだ。自室なんて先生も僕たちもそうずっといられない。Aに何かあったらどうするんだ!」
まあ、確かに、あの夜抜刀した男に足を斬られた。ただそれだけのこと。小さい傷は、割れた陶器やらが倒された時に刺さってしまっただけのこと。
熱だって寝ればいつか元に戻る。
「...視界に入れたくないし、迷惑でしょ?」
「!?」
先輩はとても驚いた顔をしていた。図星、みたいな、目を開いて、信じられないような顔をして。
私はあんまり汚い顔はやだから笑って言った。
「ずっとここにいたら、先生も、先輩も、私の事情知ってる人が来にくいじゃないですか。気にしちゃうじゃないですか。大丈夫です。自分で布団だって用意できるし、このくらいの怪我、どうってことないですから。だいじょーぶだいじょーぶ」
だから、見放してくれても大丈夫。
そう笑ったけれど、先輩は嬉しそうな顔をしない。
逆にもっと嫌そうな顔をした。
「なんで、そんなこと言うの」
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苺たると(プロフ) - 涙腺ゆるゆるにして見てました…。こういうネタ大好きなので嬉しいです!更新楽しみにしてます! (2020年6月29日 21時) (レス) id: 4ddd192ae6 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼこうどん(プロフ) - MadHatterさん» ありがとうございます!この小説を楽しみにしていただけたら幸いです!無理をせずゆっくり書いていきたいと思います! (2018年3月23日 18時) (レス) id: 4829cee081 (このIDを非表示/違反報告)
MadHatter(プロフ) - ボロボロ泣きながら拝読させて頂きました。続き楽しみにしております。無理だけはなさらないでください。 (2018年3月23日 2時) (レス) id: 17134202e7 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼこうどん(プロフ) - ざわさん» ありがとうございます。3月以降から本格的に更新を再開したいと思います。今回は生存報告としての今の現状とお話をあげさせて頂きました。引き続き応援よろしくお願いします。 (2018年2月12日 23時) (レス) id: 4829cee081 (このIDを非表示/違反報告)
ざわ(プロフ) - ドキドキしながら一気読みしてしまいました! この作品大好きです!素敵な小説をありがとうございます。受験はもうラストスパートでしょうか?お勉強頑張ってください!このコメントが届いているかどうかわかりませんが、心から応援しています...! (2018年2月6日 23時) (レス) id: c9576dec0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かまぼこうどん | 作成日時:2017年7月3日 22時