46:トラウマ植え付け ページ46
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「…どう言えば良いのか…。複雑だな…」
銀髪頭を掻きながら、難しそうな顔をする銀八先生。
私は今、国語準備室にいる。晋助と一緒に。
「まずは…体調大丈夫か?」
例の傷害事件から、3日後。
だいぶ落ち着きを取り戻した私は、晋助と一緒に学校へ来た。
真っ先に訪れたのは、銀八先生のいる国語準備室。
私の事情を知っている銀八先生のところ。
「もう大丈夫です…。ありがとうございます」
そう答えた私に、銀八先生はホッとしたような笑顔を浮かべる。
例の傷害事件は、私の心にとんでもないトラウマを植え付けた。
あれが軽い殴り合いの喧嘩なら、ここまで恐怖を感じることはない。
だけど、あれは…殴り合いの喧嘩というより−。
自分の目の前で、1つの命が失いかけていたかもしれない。
両親を失ってしまった私にとって、命がどれだけ重たいのかを知っている。
「例の傷害事件。
…夜兎工業高校の神威、だろ?」
銀八先生が口を開く。
神威と言えば、あの時に声をかけてくれた三つ編みの青年。
「…もしかして」
合致した。
神威のお礼のこと。…ゆえに晋助と総悟が神威と喧嘩したこと。
なぜ2人が、学校に行くなと行ったのか。
「…晋助。あの神威って人と…喧嘩したことあるの?」
横にいる晋助に目を向ける。
晋助は、何も答えてくれなかった。
涙が溢れ出そうになる。
晋助がどれだけ強いのか分からないけど。
一歩間違っていたら、あそこに倒れていたのは…と考えると、トラウマどころの話じゃない。
「…悪ィ、A…」
晋助はそう言いながら、私の頭を優しく撫でてくれる。
銀八先生は、なんとも言えない表情でこの光景を見ていた。
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クルルモンキー - クッ!敵わぬ!どうしても鼻血がッ! (2018年7月24日 21時) (レス) id: 5f81d4602a (このIDを非表示/違反報告)
桜月(プロフ) - narutokun0531さん» ありがとうございます!これからもっとドSっぷりを披露していきますね! (2017年9月11日 1時) (レス) id: ceb1c5f540 (このIDを非表示/違反報告)
narutokun0531(プロフ) - すごく面白いです、総悟のドSっぷりがたまりませぬっっ!! (2017年9月9日 0時) (レス) id: b0e0a6ed6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜月 | 作者ホームページ:https://twitter.com/sakura_duki3
作成日時:2017年9月3日 20時