21:嫉妬と首輪と錠前※ ページ21
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すっかり人のいなくなった武道場。
控え室と思われる部屋で、沖田は重箱並みのお弁当を食べていた。
「…沖田−総悟は」
「はーい、沖田って言ったー。」
誤魔化しきれなかった失言。
沖田はそれを聞き逃すはずもなく、私の首に首輪をつけた。
「…は?何これ?」
「首輪でさァ。見りゃ分かるだろィ。」
いや、それくらい見れば分かる。
「いや、だから何で首輪?」
「沖田って言ったから。」
ジャラジャラと重たい鎖を思いっきり引っ張った沖田。
黒革でできた首輪が首に食い込んで痛い。
「犬なら主人の隣に大人しくいろ。」
そのセリフと共に、カチッと音が響く。
驚いて沖田の顔を見れば、大きな手の中に小さな鍵が握られていた。
首輪を触れば、まるで南京錠のようなものがある。
バッグの中にある鏡を見れば、南京錠でしっかりと首輪が閉じられていた。
「…なんで南京錠?」
「質問ばっかりでうるせェ犬でィ。
ちったァ黙れねェのか。」
私の両頬を片手で握る沖田。何となく怖くなったから、そのまま押し黙った。
「ふぅ、残りは家で食いやす。」
そう言いながら、沖田はまだ半分も残っているお弁当を包み直してバッグの中に入れる。
沖田が私に背を向けた瞬間、無防備にテーブルの上に置かれた鍵を手に取った。
「っしゃ!せめて南京錠だけは…!」
見えない南京錠に鍵を押し当てた時、鍵穴にうまく入らず私の後ろに飛ぶ。
それを取ろうとした矢先、沖田に思いっきり鎖を引っ張られそのまま沖田を押し倒してしまった。
「う、うわァァァ!」
沖田と顔の距離が近い。
「おま、落ち着け!」
私が暴れまわったせいで、横にあったロッカーが倒れる。
沖田は舌打ちをすると体を半回転させ、落ちてくるロッカーから私を守ってくれた。
「…!」
沖田の体重が私の体の上に乗る。
「(待って、この体勢は本当にまずい…!)」
よほど重いのか、しきりに背後にあるロッカーを気にする沖田。
動く度、私の足の間にある沖田の膝が少しだけ触れた。
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クルルモンキー - クッ!敵わぬ!どうしても鼻血がッ! (2018年7月24日 21時) (レス) id: 5f81d4602a (このIDを非表示/違反報告)
桜月(プロフ) - narutokun0531さん» ありがとうございます!これからもっとドSっぷりを披露していきますね! (2017年9月11日 1時) (レス) id: ceb1c5f540 (このIDを非表示/違反報告)
narutokun0531(プロフ) - すごく面白いです、総悟のドSっぷりがたまりませぬっっ!! (2017年9月9日 0時) (レス) id: b0e0a6ed6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜月 | 作者ホームページ:https://twitter.com/sakura_duki3
作成日時:2017年9月3日 20時