12:連絡交換と意地悪 ページ12
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「おィ、ポチ。」
「うわぁぁぁ!」
和やかな放課後。
沖田と会わなかったことに一安心していた私は、最後の最後で神に見放された。
「お前、連絡先教えろィ。」
そう言って手のひらを出す沖田。
落ち着いたとはいえ、正直まだ気まずさがある。
私はブレザーのポケットに入れていた携帯を沖田の手の上に乗せた。
「…そういえば、今日はお弁当タカリに来なかったですね。」
ポツリ呟くように言うと、沖田は興味無さげにあァと返す。
バッグの中には、沖田がタカリに来た時用に大きいお弁当がまだ一つあるのだ。
交換を終えたのか、沖田は私に携帯を返す。それを受け取り、私はポケットの中に入れた。
「何ですかィ?主人が呼びに来なくて寂しくなったとか?」
ニマニマ微笑む沖田の顔に拳を入れたい。
私は殴りたい欲を抑え、帰宅したら食べれば良いかとぼんやり考えていた。
「いえ、別に。」
サラッと言葉を返し、私は沖田に背を向ける。その時腕を思いっきり引かれ、私は沖田の腕の中。
「…は?え、ちょっと、何してるんですか?」
抵抗しつつチラリと後ろにある沖田の顔を見る。
「つれねぇこと言わないでくだせぇよ。」
ーキスした仲じゃないですかィ。
私の耳元に寄せて呟いた最後の台詞。
顔が赤くなったのは、キスのことを思い出してしまったから。
「あーァ、なんか腹減りやした。
おィ、ファミレスでなんか奢れ。」
沖田はパッと離れると、何事もなかったかのように口を開く。
なんだよコイツ…と思いながら、私はお弁当をバッグの中から取り出した。
「お腹。減ってるなら、お弁当ありますけど。」
差し出したお弁当を沖田は受け取り、ニタリと微笑む。
「なら、昨日の焼きそばパンと同じように食べさせてくだせェ。」
コイツ…!
脳裏に蘇る記憶を吹き飛ばし、私はただ沖田を睨んでいた。
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クルルモンキー - クッ!敵わぬ!どうしても鼻血がッ! (2018年7月24日 21時) (レス) id: 5f81d4602a (このIDを非表示/違反報告)
桜月(プロフ) - narutokun0531さん» ありがとうございます!これからもっとドSっぷりを披露していきますね! (2017年9月11日 1時) (レス) id: ceb1c5f540 (このIDを非表示/違反報告)
narutokun0531(プロフ) - すごく面白いです、総悟のドSっぷりがたまりませぬっっ!! (2017年9月9日 0時) (レス) id: b0e0a6ed6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桜月 | 作者ホームページ:https://twitter.com/sakura_duki3
作成日時:2017年9月3日 20時