50 ページ1
.
白と、黒と、グレー。
今着替えた服も、それ以外のクローゼットに入っている服も、全部その色だけ。
鏡に写った自分の姿を見て溜め息を吐く。
昔より、少し化粧ノリが悪くなった肌。
昔より、少し艶の無くなった髪。
昔より、昔より、昔より…
考えれば頭が痛くなってくる。
変わったね。
久しぶりに会った人に、そう言われることが増えた。
始めは見た目の事かと思ったけど、どうやら中身の事を指しているらしかった。
例えば勤務先の学校が他県に変わって、ふみと話すことがすごく減ったり。
裕貴ともまた連絡を取らなくなったり。
住んでいたマンションを引っ越したり。
周りの環境や見た目は変わったが、自分自身が変わったつもりはなかった。
でも確かに私は変わってしまったのかもしれない。
良く言えば、大人になった。
悪く言えば…
四年前のあの日。
三人で飲んだあの時間は、楽しいものになるはずだった。
私は全てを知った。
彼に突然別れを告げられた理由や、亡くなった原因や、残された言葉を。
そして、私は28歳になった。
真実を知って空っぽになった私に残ったのは、後悔だけ。
気付けなかった。
だから私にはもう誰かを好きになる資格はない。
愛される資格もない。
引き出しの中には、真っ白な紙に書かれた手紙が一通入っている。
もう一生忘れられない。
忘れられる訳がない。
四年前、一瞬だけ乗り越えたと思った瞬間があった気がする。
誰かに倫也のこと話せたんだよな。
…誰だったっけ。
どうでもいいか。
結局、乗り越えたなんてただの勘違いだった。
今分かっているのは、
私は、何より大切なものを失ってしまったということ。
172人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
那奈(プロフ) - 続きがめっちゃ気になる!!大変だと思いますが更新頑張ってください!! (2020年4月16日 15時) (レス) id: 4a3fdbf345 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:麦 | 作成日時:2020年4月7日 18時