子供のまま、痛いまま【吉沢亮】 (ページ24)

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倒れた日の翌日。
私は部屋の真ん中で腕を組み、頭を悩ませていた。

うーん、何をしようか。

ふみに言われて今日は学校を休んだけど、特に体調が悪いわけでもない。
それに、寝ようと思っても全く眠たくならない。

部屋を見渡すと、ソファーの上の服や散らかった机が見える。

よし、今日１日掃除しよう。

そう決めてゴムで髪の毛を纏めた。

.

部屋中片付け終わり、綺麗になった窓を覗き込むと外はオレンジに染まっていた。

お風呂に入り、久しぶりに動かして汗をかいた体を洗い流す。
パジャマに着替えてドライヤーまでし終わると、お腹が大きな音で鳴った。

…そういえば、お昼食べてなかった。

冷蔵庫にはこの前買ったお肉が残っていて、他の余っていた野菜と適当に炒めて食べた。

お腹が満たされ、ソファーに座りテレビを見ていると、急に眠気が襲ってくる。
時計を横目で見ると、まだ8時半だった。

なんとかベッドにたどり着き、布団に潜り込む。
瞼を閉じ、翌朝まで泥のように眠り続けた。

.

学校へ行くと、真っ先にふみが駆け寄ってきた。

「体調どう？昨日ちゃんと休んだ？」

『元気元気。久しぶりに沢山寝たし』

昨日は大掃除をしていて、体を休めてはいない、というのは秘密。
若干焦りつつも、ふみと別れて職員室へ向かった。

.

「立花先生、呼ばれてますよ」

『はい。今行きます』

職員室で作業をしていると、ドアの方にいた先輩の先生にそう言われる。

呼ばれることは珍しくて、誰だろうと思いながら席を立った。

「A先生」

その声で廊下に顔を出すと、こっちを見ていた吉沢くんと目が合う。

『あれ、どうしたの？』

「先生の生存確認。大丈夫ですか？」

『大丈夫。この前はありがとう』

「どういたしまして」

吉沢くんはそう微笑んで、そろそろ時間なので行きます、と背を向けた。

『休み時間は短いね～』

「ホントですよ。もうちょっと話したかったんだけど」

『はいはい。今度何かお礼させてね』

「マジで！？」

効果音が付くほどの笑顔でくるりと振り向かれる。

…あれ？そういうつもりで言ったんじゃ無かったんだけど…

まさかこんなに食いつかれるとは思わなかった。
でも自分が言った事だし、これはしょうがない。

『マジマジ』

「よっしゃ！！じゃあ、なんか決まったらまた言います！」

『うん……そんなに喜ぶ事なの？』

苦笑いしながら、結局勢いに押されて承諾した。