子供のまま、痛いまま【吉沢亮】 (ページ11)

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神木くんは所謂、無自覚の天才。
隣でニヤついている吉沢くんは自覚型。

あれ？顔が綺麗で運動出来て頭も良いって…ふみ？

そこまで想像して、頭を抱えた。
なんで私の周りには、こんなに最強の人類が集まってるの？

なんだか肩身が狭い。
どうせなら私も最強にしてほしかった。

だんだん自分でも何を考えているのか分からなくなって、ため息をつく。

「先生、時間大丈夫？」

吉沢くんに声を掛けられて、腕時計に目をやる。

『…大丈夫じゃない。じゃあね』

「ばいばーい」

二人の笑顔を横目に、駆け足で教室を出た。

.

『ねえ、どうやったら神様に愛されるの？』

「え…大丈夫？」

ふみに聞けば、かなり心配された。

いや、私の聞き方が悪いな。

そう思って、あの二人の事を話す。

「なるほどね…でも、その考え方でいくと、Aも十分神様に愛されてるよね」

『え？』

「無自覚ね。神木くんと同じで」

『ちょっと待って、』

止めようとするとノックの音が響いた。
ふみが声を掛けると、ゆっくりとドアが開く。

「失礼しまーす…A先生、毎回いますね」

『まあね』

入ってきたのは吉沢くんだった。

…いや、君も二回目だろ？

言い訳のようにそう思って。

「今日はどうしたの？」

「避難してきました」

『避難？』

どうやら吉沢くんのファンの女の子達が、その姿を見ようと部活中に集まってくるそうで。
迷惑だから一旦抜けてきた、とのこと。

…いや、そんな事ある？

『モテる男は辛いなあ』

「ホントに辛いですよ」

「しれっと認めるな」

ふみからの鋭いツッコミに笑ってしまった。
吉沢くんにズバズバ言える人材はかなり貴重だと思う。

『そう言えば、吉沢くんって何部なの？』

「バスケです」

イケメン、賢い、スポーツ万能、バスケ部とか、モテ要素の塊じゃん。
ぼーっとそんなことを考えていると、ふみが思い付いたように言った。

「じゃあ、ここ皆バスケ経験者だ」

「あれ、バスケやってたんですか？」

『そうだよー』

「結構強かったよね、私達」

『うんうん』

懐かしそうに微笑むふみを見て、昔を思い出す。